簡単にルービックキューブを6面揃えられるようになる「TORIBO ファーストキューブセット」レビュー

モノ

子どもの頃に誰もが一度は触ったことがあるであろうルービックキューブ。知名度の割に、自信を持って解ける人って少ないですよね。定石を知らずに自己流でやるには案外難しいもので、私も6面揃えたことはなかったクチです。

ところが最近、YouTubeのショート動画のおすすめでやたらとルービックキューブ関連の動画が出てきて、ハンドスピナーやASMRのような感覚で「できないけど、なんとなく見ていて心地良い」という理由でついつい見てしまい、最新のよく分からないけれどすごいキューブが欲しくなってしまいました。

でも、解けもしないのにいきなりそんなの買っても……と思っていたところ、立体パズル専門店「TORIBO」さんから何やら良い入門セットが出るらしいことを知りました。なんと絶妙なタイミング。

さっそくその「TORIBO ファーストキューブセット」を買ってみましたが本当に良くできていて、これさえあれば誰でも1日で解けるようになるんじゃないかというレベルの神商品だったのでご紹介します。

セット内容は、チュートリアルキューブと普通のキューブ、そして一番重要な攻略書。この3点セットで2,400円です。

便宜上、ここまでは「ルービックキューブ」と書いてきましたが、正確には“ルービック”キューブではありません。普通に考えたら「本家本元のルービックキューブが一番良くて、他はパチモンでしょ?」と思われると思いますが、キューブ界、特にタイムを競っているガチ勢の間では本家ルービックキューブの存在感は非常に薄いです。ルービックキューブという名前の商標こそあるものの仕組み自体の特許はとっくに切れている上、性能面では本家じゃお話にならないぐらい後発メーカーの製品がすごいというのが理由。脱線気味なのでこの話はまた別の機会に。

このセットの肝はやはり「6面完成攻略書」という素晴らしいテキストなのですが、情報が売り物ですから詳しい内容にはここでは触れません。一言で言えば、とにかく分かりやすい。LBL法というポピュラーな解法をベースにしつつ、「速く揃える」ではなく「まずは自力で揃えられるようになる」ことをゴールに整理されています。

個人差はあると思いますが、私の場合、このセットを買って届いた日に数時間練習しただけで、2分程度で6面完成させられるようになりました。速さよりも手順の単純さを重視した内容になっているため覚えやすく、テキストを読みながら揃えてみる→覚えた段階だけ見ないで揃えてみる→何も見ないで揃えてみる……と反復練習していけばすぐにスッと頭に入ります。

LBL法(の亜種)の大まかな流れとしては、1色だけ十字を作る→その十字の周りの角を揃えて1段目を完成させる→2段目を揃える→十字の反対の面の色を揃える→角と側面を直すという手順になります。ここで、各ステップで注目するべきパーツを目立たせるためのマーキングを施したものが例のチュートリアルキューブです。最初の数回、テキストをがっつり読みながらやっている頃には状況を把握するのに役立ちました。

チュートリアルキューブは数回使えば正直用済みになってしまうのでもったいない気もしますが、布教用として誰かにあげてもいいですし、TORIBOではキューブを好みの色にカスタムできるステッカーも豊富なので、模様が要らなくなったらカスタムを楽しむ素材にしても良いと思います。


少し慣れてきたら、もう1つのキューブにステップアップ。見た目は模様の有無だけの違いに見えますが、実はこちらはお手頃ながらそこそこ評価の高い「RS3M 2020」という競技用キューブがベースになっているそう。回転をアシストする磁石などが入っていて、少しずつ慣れてスピードアップしてきた頃には違いを実感できるでしょう。

攻略書通りの手順を丸暗記する頃には1分半程度で安定して解けるようになりましたが、だいぶ急いでもそのぐらいが限界。この段階まで来ると、実は覚えやすさ重視で動かし方のパターンをかなり減らしているがゆえに遠回りをしている部分が多々ある解法だということに気付くはずです。そして、この無駄を減らすために必要なワンランク上のテキスト「TORIBO LBL for beginners」や、本気でタイムを詰めるなら必要になるCFOP(F2L、OLL、PLL)という膨大な暗記項目をまとめたテキストも別途提供されているのが立派なところです(しかも買い物をすれば無料!)。

TORIBOさん自体はキューブメーカーではなく、海外メーカーのキューブを輸入販売しているショップにすぎないのですが、このような独自の教材を作り込んでいたり、個人輸入では不安要素のある製品もしっかり検品していたりとかなり手厚い対応で、キューブの楽しさを真剣に広めようとしているお店という印象でした。入門ルートはしっかり整備されているので、ぜひ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

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