東北・中国地方「青春18きっぷ」旅行記(2021年)

雑記

2022年春の青春18きっぷシーズンもあと1週間で終わるので、読者がこの記事を読んで「やってみたい!」となっても絶対に行けないタイミングで書くのはいかがなものかと思いますが、2021年春に青春18きっぷを使って東北地方・中国地方を旅した際の旅行記を投下します。

「青春18きっぷ」の概要

青春18きっぷは、国鉄時代末期の1982年から40年にわたって売り続けられている日本一有名で日本一過酷な乗り放題きっぷです。最初期は「青春18のびのびきっぷ」という名前でした。

2022年現在の料金は12,050円。この値段で5日間、日本全国のJR路線に乗り放題です。ただし、一部の特例区間を除けば原則として「特急券を追加購入して特急に乗る」ということはできず、普通列車や追加料金のかからない快速列車だけで移動することになるため、相応の体力と根気、知識を要求されます。最近はジョルダン 青春18きっぷ検索という超便利なサービスもあるので、時刻表を持ち歩かなくても(読めなくても)良くなったことが唯一の救いでしょうか。

ここで、よくある誤解を3つ解いておきましょう。
①「名前からして18歳以下専用のピンチケなんでしょ?」
 →そんなことはありません。ジジイでもババアでも使えます。
②「5枚つづりなんだよね?」
 →いいえ、1枚で5日分です。たしかに自動券売機で買うと5枚ぐらいの束が出てきますが、2枚目以降は説明書です。1日目を終えて1枚目を捨てたりすると大惨事なので気をつけましょう。
③「1人で5日も旅行する暇ないよ!」
 →同一行動が条件にはなりますが、実は5人×1日でも2人×2日+1人×1日でもいいんですよ。まあ18きっぷを使うと旅程がハードになりがちなので、たぶん険悪ムードが漂うでしょうしオススメしませんが……。使いかけの18きっぷは金券ショップなどでの需要がすごいので、5回分も要らないよって人は残ったら売る(あるいは使い切れる日数のものを探して買う)のが良いと思います。

はっきり言って、今となっては18きっぷを「貧乏旅行のための安価な移動手段」と見るのはナンセンスです。18きっぷで移動距離を稼ぐ最強の手段だった夜行快速「ムーンライト」がなくなった、新幹線が開通すると並行在来線が第3セクターに転換されてJR路線ではなくなる=18きっぷで乗れなくなる、衰退国家の宿命で地方の赤字路線はどんどん死んでいく(主に北海道)、とどめに某禍を言い訳に2022年3月のダイヤ改正で儲からないところの減便や終電が行われまくった……などの理由で、1日2,000円そこらで全国どこにでも行ける貧乏学生の味方としての性能は下がる一方ですから。

今の18きっぷは、乗り鉄と異常旅行者のための縛りプレイツールでしかありません。移動自体を楽しめる人以外にはおすすめしませんよ、本当に。

2021春18きっぷ旅 前半戦:東北編

私は今回(といっても1年前の話ですが)、はじめて使いかけの18きっぷを譲り合うことなく5回分を1人で使い切りました。ただし連続した5日間というわけではなく、東北地方で2日間、中国地方で3日間と2回の旅行に分けて使うことにしました。

まずは前半戦、東北編の様子からお届けしましょう。起点に設定した仙台駅に降り立ち、18きっぷを購入するところからスタートです。あ、一応各列車の乗車時間も記録してはあるのですが、ダイヤ改正によっておそらく再現性がなくなっていると思うのでこの記事では記載しません。2022年現在も同じ旅程を組めることは一切保証しないということで、ここはひとつ。

ざっくり言えば仙台駅をスタート/ゴールとして、時計回りに東北地方を一周するプランです。まずは仙山線に乗って山形方面へ。ここは日本初の交流電化が行われた路線であり、ついでに一部区間は元々直流電化されていたところを全線統一のために交流に転換するというちょっと珍しい歴史をたどっています。

最初の経由地は山形。少し時間があったので駅周辺を散策し、「どんどん焼き」という粉もんを箸にくるくると巻いた名物おやつをいただきました。

山形からは北に進路を変え、新庄行きに乗ります。仙台や山形では残雪を見ることはほぼありませんでしたが、このあたりから車窓が一面の雪景色に変わりました。

次は新庄駅で降車。18きっぷあるあるで、乗り継ぎが悪くここで次の列車が出るまで1時間ぐらい放り出されました。とは言っても、新庄は山形新幹線の終点だし何かしら暇を潰せる程度には栄えているだろうと甘く見ていたのですが……想像以上に何もないですね。食事をするわけにも観光をするわけにも行かず、あてもなく歩いて駅からけっこう離れた普通の神社に行って帰ってきたのを覚えています。

そうこうしているうちに次の列車が来て、ロングシートで3時間揺られて秋田に到着。ほんとね、静岡ごときで地獄だのなんだのピーピー言ってる18きっぷキッズは雑魚ですよ。本当の地獄は東北だから。どこまで行っても代わり映えしない安普請の701系ばかりで、乗車時間も乗り継ぎ待ちも悪く、トイレがあること以外はほぼ上位互換(下位互換?)のハードモードですからね。

秋田駅には立派な駅ビルがあり、ここで食事を取ることに。「秋田比内地鶏や」の「比内地鶏の親子丼と田沢湖冷麺特製セット」にしました。ご当地感もありますし、駅直結でおいしいものが食べられるのは旅程詰め込みまくりの18きっぱーにはありがたい限りです。

腹ごしらえも済ませたところで、再び北を目指します。乗るのはもちろん701系。奥に控える廃車疎開かなにかのキハ40、いいなぁ……あっちに乗りたい……。

青森駅に到着。さらっと書きましたが、秋田から3時間半、仙台出発から12時間ぐらいかかっています。とにかく距離が長く、運行系統も分離されているとはいえめちゃくちゃ長時間乗車の列車が多いため、あまり気分転換になる乗換駅がなく修行僧のように乗り続けなければいけないのがハードでしたね。

青森駅に着いた時点で20時を回っていたので、まだ時短だのなんだのとごちゃごちゃ抜かしていたご時世では危うく夕飯難民になりかけましたが、「らーめん砂小屋」という小綺麗で新しそうなラーメン屋さんを見つけて入りました。くどくないさらっとした感じの味噌ラーメンでなかなか美味しかったです。

青森で一泊し、翌朝。復路の行動を開始する前に見ておきたい場所がありました。

青森駅のすぐ近くには、青函トンネルが開通する前、船に鉄道車両を乗せて本州と北海道を行き来していたころの連絡船(八甲田丸)が保存されています。船自体ももちろん貴重ですし、車両を積み込んだ状態で一般公開しているのはここだけ。北海道側の拠点だった函館にも保存船(摩周丸)がありますが、そちらは車両甲板への立ち入りはできないのです。

気動車特急や荷物車、車掌車、連絡船への出し入れに使った控車などが格納されています。日本の鉄道史の1ページをそのまま切り取ったタイムカプセルのような空間で、これだけのためでも来て良かったと思うレベル。また、車両甲板の秘密基地感は鉄道マニアでなくともワクワクしそうです。

さて、青森駅に戻ってまた列車に乗ります。2日目は盛岡で昼食をとりたかったのですが、並行在来線の3セク化が行われているこの区間を18きっぷで昼までに移動するのは不可能なので、潔く新青森駅~盛岡駅は新幹線を使うことにします。

新青森駅にはちょっと変わった自動販売機がありました。JR東日本エリアにお住まいの方ならおなじみの「acure」自販機には、ちょっとお高いりんごジュースが何種類か入っていますよね。新青森にはあれだけをずらりと並べた「りんご自販機」があるのです。普段は旬の1,2種類しか買えないので、好みの味・品種を選び放題なのはテンションが上がりました。

新幹線って速いなぁ(当たり前)。青森を去る前に、ご当地商品・工藤パンの「イギリストースト」を買っておきました。ジャリ甘うまです。

盛岡まで急いだ理由はこちら。びっくりドンキー1号店「ベル」に行きました。メニューは一般のびっくりドンキーと変わりませんが、和室でハンバーグを食べるのはなんとも奇妙な体験ですな。

盛岡以降はあまりにも単調すぎてろくに写真も撮っていませんでしたが、また18きっぷを使って東北本線経由で仙台まで行き、無事に2日間で一周できました。

ちょうどシン・エヴァンゲリオンが劇場公開されたばかりの頃でまだ観ていなかったので、序・破・Qを移動中だけで全部観て予習していた記憶があります。いくら乗り鉄目的の旅でも飽きる時は飽きますから、プライムビデオなりKindleなり、事前ダウンロードで電波状況が悪くても暇を潰せるコンテンツは用意しておいた方が良いと思いますよ。

2021春18きっぷ旅 後半戦:中国編

日も所も変わって、今度は九州の小倉駅から後半戦をスタート。中国地方を巡りつつ、四国を目指します。九州にいたのは、別の記事で書いた「みんなの九州きっぷ」を使った旅行の続きだからです。

最初のお楽しみは、国鉄型車両で味わう関門海峡のデッドセクション。新しい車両だと同じような交直切換のデッドセクションでも車内の照明は消えないので(常磐線のE531系など)、そう遠くないうちに昔話になることでしょうから体験できて良かったです。

本州に上陸して最初の乗り換えは、このエリアではおなじみの末期色……真っ黄色の115系がお出迎え。うるさいボロとはいえ、クロスシートで座り心地も良いですし、701系に乗り続ける東北編よりは楽かなと思います。

宮島口で降り、「うえの」のあなごめしをいただきました。蒸し上げた穴子が整列するさまは見た目にも美しく、ふわふわで美味。穴子の調理法って、関東は煮、関西は焼きが主流と言われていますから、どちらにしても蒸しあなごはひと味違う楽しみ方ができるでしょう。

宮島口で降りたもうひとつの理由は、JR宮島フェリーに乗ること。東北編で売れた青函連絡船が健在だった頃はともかく、今となっては18きっぷで乗れる唯一の航路です。

宮島といえば厳島神社。残念ながら、訪問時(2021年3月)は海に浮かぶ大鳥居は改修中で見られませんでした。焼きたての「もみじまんじゅう」の食べ歩きなどをしつつ、再びフェリーに乗って駅に戻ります。

ここから乗る電車は227系「レッドウィング」。末期色の旧車だらけの國鐵廣島を噂でしか知らない関東民でも「広島支社に新車!?」と驚くぐらいですから、地元民の衝撃は計り知れなかったことでしょう。

次は横川駅で降りて、広島市電に乗って寄り道します。

やっぱり広島まで来たらこれぐらいは見ておかないとね。原爆ドームを見学しました。その後は市電で広島駅に出て、JRでの旅を続けます。

この日の行程は岡山県・倉敷駅で終了。駅近のホテルにチェックインした後、美観地区という美しい街並みを眺めたり、駅の反対側(北側)にあるアウトレットモールでデミカツ丼というご当地メニューを食べたりしました。

ここだけ妙に浮いた存在感のある倉敷駅北口。現在のアウトレットモールの場所には元々、倉敷チボリ公園という北欧風のテーマパークがあり、その名残のようです。バブル期に企画され、出来上がった頃にはとっくにバブルが崩壊していて悲惨な結果に……よくあるパターンのバブルの遺構ですな。

翌朝、倉敷駅にて。四国に向かうとは言いましたが、18きっぷ3日分で小倉→四国では短すぎるので日本海側をぐるりとまわります。

乗り換えのために降りた米子駅にて。このやっつけ感満載の改造車両による短編成、これぞ西日本のローカル線という感じがします。

これだけ列車に乗り続けているのに、まだ駅弁を食べていないなとふと思い、ここで「大山どりの鶏三昧弁当」をいただきました。

少しだけ島根県に踏み入り、安来という駅で降りてみました。南側は線路に面して日立金属の大きな工場が建ち、北側に少し歩けばすぐに港が。面積的には小さな町ですが、歴史あるたたら製鉄の町ということで調べれば面白いのでしょうねぇ。

山陰本線でひたすら東に進み、次に途中下車したのは倉吉駅。10年来の音ゲーマーでもある私にとって「ひなビタ♪」というコンテンツと関わりの深いこの土地は一度は訪れてみたい場所でした。

倉吉からはタラコ色の気動車に乗り、この日の宿泊地となる鳥取へ。

14時前には宿に着いたので、まだまだ時間に余裕があります。とりあえず「スタバはないけどスナバはある」でおなじみの「すなば珈琲」で一息ついてから(※今はスタバもあります)、バスで鳥取砂丘を見に行きました。

そしていよいよ最終日。気動車を乗り継いで南下し、四国を目指します。

この日の寄り道は津山駅。え?昭和最悪の犯罪と言われる「津山三十人殺し」の町?
……いやまあそれは否定しませんが、古くからの交通の要衝で鉄道の町でもあるんですよ。

駅前に「Cafe Kakuzan」さんという朝6時から開いているカフェがあり、モーニングをしつつ目的地の開館まで時間調整。純和風の建物も素敵ですし、この辺は国道沿いでそこそこお店もあるとはいえ、こんな時間から開いている店はないので非常に助かります。

お目当てはこれ。旧津山機関区の扇形機関庫が保存されているのです。現存するものとしては京都の梅小路に次いで全国で2番目の規模だそう。機関庫自体も貴重ですが、オイルショックの余波で量産に至らなかった2000馬力のワンオフ試作ディーゼル機関車「DE50 1」など、収められている車両も豪華です。

岡山でマリンライナーに乗り換え、いざ四国へ。瀬戸大橋線楽しい!

四国の玄関口、高松駅に到着し、無事18きっぷでの5日間の行動を終えました。この後は別の企画きっぷを活用して四国を巡ったのですが、それはまた別の記事で。

安く移動するための手段としては青春18きっぷは今更おすすめできるものではないと言いつつ、たった12,050円でこれだけ移動できる手段はなかなか無いのも確かです。今回なんて一体いくら分乗ったのか……趣味趣向に合うなら、まだまだ遊びがいのあるきっぷだとは思いますよ。

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