JR九州が誇るチート系乗り放題きっぷ「みんなの九州きっぷ」。15,000円で2日間は特急も新幹線も乗り放題というめちゃくちゃ捗るやつです。
私は今年は行けそうにないのですが、去年(2021年)に実際にこのきっぷを使って旅行してきたので、2022年版の利用を考えている方の参考にもなるかなということで、いまさらながら記憶と記録を辿って旅行記を書いてみます。
「みんなの九州きっぷ」の概要
「みんなの九州きっぷ」2022年版の発売期間は3月25日~5月25日、利用期間は4月2日~5月29日。JR九州全線で使える全九州版(大人15,000円 / 子ども2,000円)とエリアを絞った北部九州版(大人8,000円 / 子ども1,000円)があります。利用期間のうち、連続した土日祝日の2日間に利用できます。
九州新幹線の博多~鹿児島中央が普通車指定席で10,640円ですから、新幹線で1往復するだけでも元が取れてしまいます。6回までは指定席も使えますし、特典を隅々まで読むと実は駅レンタカーや高速バス「B&Sみやざき」の割引も付いています。全線乗り放題のきっぷではありますが、たとえば阿蘇のほうに出かけるならレンタカーも使えた方が便利ですし、博多起点で考えると在来線ではかなり時間のかかる宮崎を目指すなら、「新幹線で新八代まで、新八代からはバスで宮崎へ」という乗り継ぎ前提で運行されているB&Sみやざきに片道3,000円で乗れるのはだいぶ助かりそうです。
乗り鉄目的の旅行に限らず、期間中に九州を旅するなら全員買ってほしいぐらい異常にお得なきっぷです。博多観光だけとか温泉地に籠もるとかならいらないと思いますが、それ以外なら必携かと。
「みんなの九州きっぷ」を使ってみた旅行記
ここからは、私が2021年3月に「みんなの九州きっぷ」を使った際の旅行記です。気軽に読み流してください。ちなみに、2021年版は今よりもっと安くて12,000円だったんですよ。安すぎ。
当時の私は47都道府県全踏破を目指して各地を旅していたので(現在はもう達成しました)、みんなの九州きっぷの利用スタイルとしては「各地でちょこちょこ観光しつつ、ガチで一日中移動し続けて九州を一周する」というハードスタイル。すでに訪問済みの県もあったので2日で8県すべてまわったわけではなく(いくらチートきっぷでもそれをやるとさすがにキツいと思います)、博多発で鹿児島に泊まって1往復という感じです。
前日に飛行機で九州入りし、博多で一泊。首都圏で生まれ育った人間としては「空港は都市部から遠くて飛行機って乗るまでがメンドクサイ」というイメージが強く、噂には聞いていた福岡空港の都市直結ぶりは衝撃的でした。
「みんなの九州きっぷ」では乗れない博多南線(※新幹線車両を使って運行される車庫への引込線を兼ねた在来線。九州だけどJR西日本の管轄なので対象外)に乗ったり、博多ラーメンを食べたりしました。ちなみにこの記事を書いているのは深夜だか早朝だかわからん時間なので、1年前の自分に「何うまそうなもん食っとんねんボケコラ!!!」とキレ散らかしています。
ちなみに、JR九州でネット予約したきっぷはJR九州・JR西日本管内でしか発券できないので、関東在住の方などで前入りできず使用開始日に九州入りする場合、起点となる駅で発券できないと(特に早朝)もったいないことになるので要注意です。
そして翌朝8時台、博多駅から九州新幹線に乗って行動開始……と、その前に指定席を取っておきます。企画きっぷだからといって窓口対応などの特別な手続きは必要なく、自動券売機に「みんなの九州きっぷ」を入れて予約操作をすると、スタンプを押されて指定席利用権が1回減った(残り5回になった)状態の「みんなの九州きっぷ」と別添の指定席券が出てきます。2枚重ねて改札に入れますが、指定席券じゃない方の券は2日間使い続けるものですから取り忘れないように。
博多から熊本までは118kmもありますが、40分強で到着。この手のお得なきっぷで旅行する場合の8割ぐらいは修行僧のような苦行になることが多いので、こんな快適に速く移動できてしまって本当に良いのだろうかという気さえしてきます。
熊本駅前は再開発されていて、広々とした敷地に真新しいきれいな駅ビルと商業施設が堂々と構える立派な作り。今知りましたが、駅前広場の完成が2021年3月、新駅ビルの完成が2021年4月だそうで、私が訪れたときはまさにきれいな駅に生まれ変わった時期だったんですね。
そんな駅前から熊本市電に乗り(もちろんJRではないので別料金)、熊本城へ。市電での移動時間は10分そこらですが、お城の敷地内で天守閣の近くまで歩くのにけっこう時間がかかるので、熊本城に寄るなら熊本駅から出て戻るまでの滞在時間を2時間は見ておいた方が良いでしょう。
ちょうど1年前、桜が咲く時期の訪問で、天守閣は地震からの再建がほぼ終わって囲いがほぼすべて取れた状態でしたので最高に美しい時に見られたのは良かったなと思っています。あと1ヶ月遅ければ内部見学もできたらしいのですが、それだと桜と城のハーモニーはなかったわけで……今年行く人がうらやましい。
市電で熊本駅に戻り、再び新幹線で南に進みます。博多~熊本は「やっぱり九州新幹線といえばこれだよね」という感じの800系でしたが、今度はN700系。といっても普段東京で見かけるのとは違い、純白ではなく青っぽい九州所属の編成です。
熊本から終点、鹿児島中央までは約40分でした。8時台(と言っても9時近く)に博多を出て、熊本でのんびり城を眺めても13時前には鹿児島ですよ。ちょうど九州新幹線開通前の在来線特急「つばめ」の所要時間が4時間弱だったそうですから、やはり新幹線ができると旅程の余裕は劇的に変わるものですね。
さて、1日目の鉄道移動はここまで。この日は鹿児島の繁華街、天文館というエリアに宿を取っていたのでチェックインまでぶらぶらと散策します。
特にやることも考えていなかったので、ひとまず駅ビルの観覧車に乗って街を一望しながら考え……あっ!桜島だ!すげー!意外と近い!
ということで、桜島を間近で見られるウォーターフロントパークという公園まで歩くことにしました。観覧車視点のノリで距離感がおかしくなっているだけで2.5kmぐらいあるので、みなさんはそんな野蛮なことはしないで市電やバスに乗ったほうがいいと思います。
わ~
ほら、あれに乗ってくればよかったでしょ?
桜島を見た後はこの日の宿がある天文館まで歩いて戻り(だから市電に乗れと……)ここで有名なあるものを食べに行きました。
「天文館むじゃき」で鹿児島名物「しろくま」かき氷を食べつつ休憩。さすがに1年前の写真と記憶から食レポをするのは不可能なのでご容赦いただくとして、3月とはいえ南九州、それも散々歩き回った後なので時期外れということはまったくなく美味しかった記憶はあります。
翌日(日曜日)は在来線で福岡まで戻るので朝も早いですし、これまた名物の鳥刺しなどを食べて早めに就寝しました。
翌朝は4時台に行動開始。雨の中30分以上歩いて駅に向かうという最悪のウォーミングアップから1日が始まります。こういう無茶な行程でも成り立つから一人旅はいいんだ。
鹿児島中央駅まで戻ってきたわけではなく、鹿児島駅まで歩いてきました。乗り鉄旅ですから往復とも新幹線では味気ないだろうと、復路は在来線特急を使うルートにしたのです。
しっかり記録していなかったのですが、おそらく普通列車を西都城で乗り継いで8時頃には宮崎駅に到達したはずです。
宮崎からは787系の特急「にちりん」で大分まで。九州の特急車両はバリエーション豊かで良いですよねぇ……787系が一番イケメンだと思います。九州新幹線 長崎ルートが部分開業したら再び新幹線リレー特急として走るでしょうから、新八代開業の頃は遠い出来事として雑誌で見ているだけだった者としてはちょっと乗ってみたいですね。
大分からは883系「ソニック」に乗り換え、ハハッって言われそうな形のシートが面白い。長い移動を終え、13時半頃に博多に到着。やっぱり新幹線って速かったんですね。
博多ではどうしても一度食べてみたかった天ぷら屋の「ひらお」に行きました。めちゃめちゃ混んでるけど安くてうまい。揚げたてで一個ずつ目の前に置かれる天ぷらももちろんおいしいのですが、柚子が香るあっさりしたイカの塩辛が最高でした。
ここで終わりと見せかけて、まだ移動します。記事構成の都合上“九州旅行”ということにしたものの、実際にはこの後続けて中国・四国もまわったので翌日に備えて九州内で可能な限り本州寄りに移動しておきたく、宿泊地は小倉としました。
小倉に行く前に門司港や関門海峡周辺を観光しましたが、これは知人と会って車で案内してもらうという反則技なので詳細は割愛します。お気持ち表明漫画に「理解のある彼くん」が出てくるぐらい反則です。
知人と解散し、門司港駅から再び電車で移動。めちゃくちゃ雰囲気の良い駅ですね。何がそう思わせるのか、妙に旅情を誘う空気のホームです。
この日の締めくくりに小倉のエキナカで一杯。やっぱり九州だから甘めのお醤油なんだ~と当たり前のことを思いつつ(割と好きです)、はじめて飲んだ「ぽん酢サワー」が美味しかった。家でもやってみようと思いつつやっていないことをこの記事のおかげで1年越しに思い出したので、今度やってみようと思います(あ、これたぶんやらないやつだ)。
まとめ:期間中に九州を旅するなら必携
前半でも書いたとおり、「みんなの九州きっぷ」は新幹線で1往復するだけでも元が取れてしまうぐらい破格の料金設定です。この旅行記のように端から端まで移動してしゃぶり尽くす必要はなく、普通の旅行でも「みんなの九州きっぷ」の方が安いというケースは少なくないはず。およそ半額の北部九州版ならなおさら元を取りやすいでしょう。
あと、2日間使わなきゃもったいないという先入観があるかもしれませんが、相当簡単に元を取れるきっぷですから、1日だけでも旅程次第では損せず使えると思いますよ!