揚げ物なのにサラサラいける新感覚、かつ吉の「冷やしかつ丼」を体験

グルメ

みなさんは「冷やしかつ丼」なる謎の食べ物をご存知でしょうか。私は去年知ったのですが、シーズンを逃してしまい行けず……2022年版は5月1日からスタートということで早速食べに行ってきました。

冷やしかつ丼とは、都内で数店舗を展開する創業六十余年のとんかつ屋「かつ吉」さんの夏季限定メニュー。もしこれを奇抜なメニューでお馴染みの某カツ丼チェーンあたりが出して来たら「あーはいはい、バズ狙いで一発かましちゃったやつね」と軽く流すところですが、ここは本気です。すでに20年以上、夏の定番として出され続けている真面目に考えられたメニューなのです。

注文後、キャベツとお漬物をつまんで待機。定食と同じようにおかわり可のキャベツがついてくるのはちょっとうれしい。とんかつ屋に来たなって感じがします。

ちゃんとしたとんかつ屋さんなので、変わり種とはいえ(いや、むしろとても手間のかかった変わり種だからこそ)お値段はそこそこします。2022年版のメニューは、国産銘柄豚ロース(120g)2,100円/(特上150g)2,600円/国産銘柄豚ひれ(120g)2,300円/(特上150g)2,800円の4種類。なんとなく「冷やしなら脂の少ないひれの方が合いそうかな?」と思ったのでひれの120gを注文しました。

あとで公式サイトのお知らせを見たら、特上は量だけでなくお肉の部位も変わり、ロースは特上リブロース、ひれはシャトーブリアンだそう。未知のメニューなので様子見で120gにしてしまいましたが、それなら差額以上の価値があるかもしれませんね。

さあ、お待ちかねの冷やしかつ丼のお出ましです。かつ丼とは言っても卵とじではなく、冷たい出汁に揚げたてサクサクのとんかつを浸からせたお茶漬けスタイル。オクラ、キュウリ、みょうが、とろろ、梅肉などのなつらしい薬味が添えられています。あと別添えでツーンとしない本物のわさびも。

「冷やし」にかける熱意は本物で、炊きたてのご飯をわざわざ冷水で洗ってあったり、出汁には氷を入れてキンキンに冷やしてあったり、手間をかけた作り込みで芯から冷えます。いち早く体験したくて寒めの日に行ってしまったのをちょっと後悔するほどで、これはぜひちゃんと暑い日に行ってみてください。

この記事を読んでいる人の9割ぐらいはイロモノだと思っているでしょうし、私もそう思っていましたが、普通に考えてありえないことをしているのにちゃんと料理として成立していて納得がいくから不思議。冷やされた脂がクドいなんてこともなく、揚げ物を食べていることを忘れるぐらい違和感なくサラッといける冷やし茶漬けです。

中がほんのり赤い絶妙な揚げ加減を見るに、普通のメニューも間違いなく美味しいんでしょうね。今度は冷やし以外のメニューも食べてみたいです。ちゃんとしたとんかつ屋さんが作る奇抜なようで完成された一杯、何かの経験値が上がったような気がする体験でした。

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