仙台の名物といえば牛タンを思い浮かべる人も多いかと思いますが、あれはあくまで名物であって特産品ではないんですよね。どんな有名店・人気店でも基本的に肉自体は外国産ですし、あくまで牛タン焼き・牛タン定食というフォーマットが仙台で確立されたというだけの話です。
なので、理論上は別に仙台じゃなくたって、東京だろうと大阪だろうと同じレベルの店があってもおかしくないはずなんです。でも、実際あちこち食べ歩いた上で言わせてもらえば本場(?)の店のレベルはやっぱり高いですよ。

牛たん料理 雅(2020年7月訪問)。あまり良い写真がなくてすみません……
個人的に仙台の牛タン屋でベストを決めるとしたら、単純に牛タンだけのうまさで言えば一番町の地下にある「牛たん料理 雅」という隠れ家的な小さなお店が一番だと思います。
飾り気がないというかメニュー的にもほぼ牛タン定食一本で勝負しているストイックなお店なのですが、絶妙なレア気味の焼き加減とシンプルな天然塩による味付けは完成形に近い至極の域。機会があればぜひ行ってみてください。
で、もうちょっと気軽に居酒屋感覚で使える(牛タン以外にもうまいもんが色々ある)店としては「司」が最強だと思うんですよ。もちろん牛タン自体も間違いなく美味しいので、こちらもオススメ。
もうね、わざわざ仙台まで旅行や出張に出かけて利○みたいなどこにでもある大したことないチェーンに行ってしまうTwitterのフォロワーなんかを見ると悲しい気持ちになるわけです(っていうか○久なんて東京にもあるだろ!)。
某チェーンなら東京にもあるだろと笑っておいて手のひらを返すようですが、そんな激推ししている司も「分店」なら東京にあります。じゃあ同じじゃないかって?全然違うんだよ。
「司 分店鷹」は、大宮、赤羽、川崎の3エリアに4店舗あります。今回訪問したのは赤羽店ですが、分店としての本拠地は大宮のようです。日曜17時の開店直後に行ったら運良く入れましたが、基本的には休日は予約していかないと厳しそうでした。
先述の通り、牛タン焼き以外にもおいしいものがたくさんあるお店なので、この日は色々頼みながら飲もうと決めていました。そんなわけで、まずは定食ではなく単品の「牛タン焼き」1人前(1,850円)を注文。
正直、あの司の暖簾分けとはいえ、あくまで分店を名乗っているぐらいだから味は一段落ちるのかな?近い雰囲気を楽しめれば十分かな、と訪問前は失礼ながら思っていました。でも、このプリプリの食感と焼き加減……間違いなく本物ですよ。素人目線では本店と同じとしか思えません。
牛タンの次にぜひ食べてほしいメニューが「和牛テール焼き」(880円)。これもないと司って感じがしないので、分店にもちゃんとあってうれしい。
牛タン定食にはよくテールスープがついてきますよね?あのテール(牛のしっぽ)を輪切りにして焼いたものです。ぶっちゃけ可食部は少ないし歯の悪い人はけっこう噛みちぎるの大変だと思いますが、骨の周りの肉は旨味が濃いとよく言われる通り、味わい深い部位です。濃いめの味付けでおつまみとしては実に良いですね。
居酒屋感覚で使えるって話も冒頭でしましたね。けっこう牛タン以外のメニューもあるんですよ。
上の写真は三角あぶらあげ。牛タンほどの知名度はないので知らない人がほとんどだと思いますが、これも仙台の名物です。定義山っていうお寺の門前に有名な豆腐屋さんがあって、そこでは揚げたての三角あぶらあげ(油揚げと言っても厚揚げに近いです)に一味と醤油をさっとかけていただくのが定番なんです。
司や分店鷹のものが定義山のあぶらあげそのものを使っているかは知りませんが(さすがに違うんじゃないかな?)、カリッとジューシーな雰囲気は近いです。ここで初めて仙台の司じゃなくて大宮拠点の分店鷹らしさを感じたのが、普通の醤油のほかに埼玉県の会社が作っている甘めのだし醤油を選べました。
結論としては、分店鷹は99%「司」そのものです。味は保証するし間違いなくオススメします。
ここまで来るとあくまで司ではなく分店、というスタンスなのが不思議に思えてくるぐらいの出来なのですが、そこがまた良いですよね。安易に「仙台まで行かなくても食べられるじゃん」と思わせないための一線を引いているというか。某牛タンチェーンとか、仙台銘菓のくせに東京駅限定版なんて出してるナントカ三全にも見習ってほしい心意気です。
近いうちに本店にも絶対また行きます。分店も東京の友人たちへの布教用としてガンガン使わせてもらおうと思います。