「ThinkPad X1 Nano」レビュー:薄くて軽くて意外と速い、理想に近いモバイルノート

デジモノ

レノボ・ジャパン様のご厚意で「ThinkPad X1 Nano Gen 1」をお借りしました。ThinkPadファンとしては発表時から気になっていた、機動力に優れる待望の薄型軽量モバイルノートを使ってみました。

「ThinkPad X1 Nano」ってどんな機種?

ThinkPad X1 Nanoは、ビジネスモバイルノートの名門・ThinkPadブランドの中では新顔の機種で、2020年に第1世代が発表されました。2022年5月現在は第2世代も発表され、モデルチェンジ待ちの状況となっています(試用機は第1世代です)。

ファンの方ならよくご存知かと思いますが、ThinkPadのシリーズ名にはX=リアルモバイル、T=ハイパフォーマンスモバイル、P=モバイルワークステーションなどといった意味があり、製品名を見ればおおよそどういう方向性の機種なのか区別できます。そして、本機種が属する「X1」シリーズとは、Xの上位版ともいえるプレミアムモバイル。実用一辺倒ではなくデザインや先進性も重視した、ThinkPadシリーズ全体におけるフラッグシップ的存在です。

X1シリーズの例:ThinkPad X1 Fold

X1シリーズには、2in1からフォルダブルタブレット、モバイルワークステーションまで幅広いカテゴリーの最上位機種が揃っています。その中でも、特に知名度が高いのは「ThinkPad X1 Carbon」でしょう。外装にカーボン素材を使っているおかげで14インチモデルとしては軽く、キーボードに定評のあるThinkPadの中でも特に打鍵感の良いハイグレードなものが搭載され、もちろんスペックも十分。予算を度外視すればThinkPadユーザーなら誰もが憧れる機種です。

そんなThinkPad X1 Carbonの弟分とも言える、期待の新生がThinkPad X1 Nano。一回り小さい13インチで、ThinkPad史上最軽量の907g~という1kg切りの本体重量を実現しました。余談ですが、第2世代は少し重くなる予定なので(970g~)、最軽量ThinkPadということに魅力を感じるなら第1世代末期で価格もこなれている今が買い時です。

前置きが長くなりましたが、ThinkPad X1 Nanoがどんな機種かをひとことで言えば「一番軽くて小さい、夢のThinkPad」です。

試用機のスペック

すでにAlder Lake世代のCPUを搭載するマイナーチェンジモデル「ThinkPad X1 Nano Gen 2」の発売が予告されているため、モデル末期の本製品を性能面で評価する意味はあまりないと考え、詳細は割愛します。一応、試用機の構成を一例として記載しておきます。

・CPU:Intel Core i7-1160G7(Tiger Lake UP4)
・メモリ:16GB(オンボード)
・SSD:512GB(M.2 2242)
・ディスプレイ:13.0インチ 2160×1350 IPS液晶(マルチタッチ非対応)
・キーボード:日本語JIS配列(バックライト付き)
・バッテリー容量:48.2Wh
・OS:Windows 10 Home 64bit
・本体サイズ:約292.8×207.7×13.87mm
・本体重量:約907g

最軽量ThinkPadの外観をチェック!

いざ外に持ち出す前に、ThinkPad X1 Nanoの外観をチェックしておきましょう。

天板を見ると、いつものThinkPad。左上のThinkPadロゴの下にはカラー印刷のX1ロゴが入っており、フラッグシップシリーズの一員であることが一目瞭然です。

試用機の天板は通常の無地のタイプでしたが、第7世代以降のThinkPad X1 Carbonと同様に、カーボン素材の織り目が見えるタイプの天板も存在します。

対角線の長さでいえば画面サイズは13.0インチですが、アスペクト比(縦横比)が16:9ではなく16:10でありベゼルも狭いので、16:9の機種の感覚で見ると意外と小柄。むしろ、12.5インチ時代のXシリーズのフットプリントに限りなく近いです。

ボディサイズは約292.8×207.7×13.87mm(タッチパネル非搭載の場合)。一昔前のXシリーズをそのまま薄くしたようなサイズ感で、モバイルノートとしては理想的な姿です。

薄さを見たついでに側面の端子類をチェックしておくと、左側にUSB Type-C(3.1 Gen 2 / Thunderbolt 4)が2口あり、充電や映像出力もすべてこちらから。あとはイヤホンジャックも並んでいます。

反対側(右側)は電源ボタンと排気口のみ。2in1でもないのに電源ボタンを側面に置かれるのはあまり喜ばしくないですねぇ。

キーボードを見ると、小さくてもちゃんとThinkPad。さすがに14インチのThinkPad X1 Carbonほど完璧に均等な配列ではありませんが、ボディの横幅をほぼいっぱいに使っているおかげで、13.3インチのThinkPad Xシリーズと同等の詰め方で済んでいます(Enterキー付近の記号類に注目)。

キーストロークはThinkPad X1 Carbonの1.5mmに対して、ThinkPad X1 Nanoは1.35mmとわずかに浅くなっています。キーストロークの浅さ自体はさほど気にならず、ThinkPadらしい打ちやすいキーボードだと思いますが、パタパタと打鍵音がうるさめなのは想定外。作業効率は申し分ないものの、プレミアム路線のX1シリーズに多いしっとりとした上質な打ち心地までは期待できません。

なお、「ThinkPad史上最軽量」の定義について補足しておくと、普通のクラムシェル型ラップトップの中での話になります。デタッチャブル型2in1の本体(タブレット部分)だけ……とかは反則ってことですね。ちなみに、ThinkPad X1 Nano以前に長らく最軽量とされていた大昔の「ThinkPad 220」(X220じゃないよ!)は公称値でジャスト1kgでしたが、それは電池を除いた重さ。1kg切りのモデルがようやく出たというのは、ThinkPadの長い歴史の1ページとして間違いなく残る快挙なのです。

実際に使ってみた

ちょうどお借りしている期間に遠出する機会があったので、移動中やスキマ時間にバリバリ働いてもらおうと旅のお供に連れ出してみました。

私の旅行スタイルは、基本的にリュックひとつ。キャリーバッグも一応持ってはいますが、自分にとっても周囲にとっても邪魔にしかならないことが多いのでめったに持ち出しません。

そんなわけで荷物はなるべくコンパクトに収めたいのですが、その点、薄くて軽いThinkPad X1 Nanoは文句なし。スムーズに荷造りを済ませて、いざ出発です。

今回は新幹線移動なので、移動中にさっそくThinkPad X1 Nanoを開いて作業開始。横幅が狭いので新幹線の小さなテーブルでも十分作業でき、それでいて画面が縦にちょっとだけ長いので文章の読み書きは捗ります。

最近はとても軽いノートPCが増え、1kgを切る機種もそれほど珍しくはなくなってきました。モバイルノートの代表格であるThinkPadが軽さでは後れを取っているという歯がゆい状況が続いていましたし、Xシリーズが13.3インチに拡大されてからはコンパクトな機種も不在でした。ようやく機動性の高い現代的リアルモバイルが復活したのは嬉しい限りです。

一般的なノートPCに搭載されるTiger Lake UP3ではなく、より薄型・小型のデバイスを想定したTiger Lake UP4(従来の超省電力プロセッサ相当)を搭載しているため、スペック上は非力そうに思えます。しかし、Tiger Lake世代のUP3やUP4という区分は従来のUシリーズ / Yシリーズの違いよりも柔軟なもので、設計次第で実機のパフォーマンスでは逆転することもありえます。

ThinkPad X1 Nanoは薄型ながら熱設計もよく考えられていて、メーカーいわく「並のUP3搭載ノートPCには負けない」ぐらいのパフォーマンスが出る設計だそう。実際、ミラーレスで撮ったJPEG画像の取り込みや調整程度ならサクサクこなせます。よほどヘビーなクリエイティブ用途でもなければ、想像以上に使えるマシンでした。

まとめ:一番軽くて小さい、夢のThinkPad

ThinkPad X1 Nanoは、特にXシリーズを好んで使ってきたユーザーにとっては、長年待ち望んでいた理想形に近い現代的なThinkPadです。

12.5インチ時代のXシリーズに近いフットプリントに収めながら薄く、そして軽くなったボディは、最新のモバイルマシンに求められる水準を満たしており、長年要望されながらもThinkPadには欠けていたクラスです。そして、性能面でもTiger Lake UP4搭載機としては頑張っていて、UP3を搭載する一般的なノートPCと遜色ないパフォーマンスを発揮できています。

とはいえ、重さだけでいえばThinkPad X1 Carbonも十分軽いですし、処理速度やディスプレイ画質、キーボードなどのアドバンテージも少なからずあります。新幹線のテーブルやパイプ椅子が並べられた会見場のような狭い場所で使いたい、あるいは大げさでないサイズのバッグでさりげなくPCを常時携帯したいというような、軽さよりも小ささが重要になるニーズを抱えていないのであれば、自分が求める要素をよく吟味して選ぶべきでしょう。

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