すっかり恒例になりつつある、「カレコ」で普通のカーシェアにはないようなちょっと変わった車を借りて乗り回すやつをやってきました。今回は「そういえばSUVってあんまりちゃんと運転したことないな」となんとなく思ったので、トヨタのハリアー(2020年発売の4代目)をチョイス。
先にお断りしておくと、私はSUVにあまり興味がない……というより、都会派SUV(笑)みたいなジャンルはハッキリ嫌いな人です。たぶん気分を害するようなことしか書かないので、オーナーや検討中の方は回れ右で。

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悪路を走る本物のクロカンならともかく、このジャンルは心底なにが良いのか理解できないんですよねぇ。見掛け倒しで形状に意味が伴っていないというか。オフロードは走れない、オンロードの走行性能はセダン以下、人や荷物の積載性はミニバン以下。結局、なんとなくイメージで売れてるだけのクソミーハージャンルじゃないですか?
「視点が高くて運転しやすい」?いや、視点の高さごときに左右されるようなヘタクソがこんなデカブツに乗るのは迷惑でしかないでしょう。車の大小による前時代的なヒエラルキーを信じている田舎者か、別に車に興味はないけどなんとなく高そうな車でイキってモテたいヤツか、ミニバンは嫌で遊び心を残したい所帯持ちの最後の抵抗か……どうしてもそういう選ばれ方しかしないジャンルという色眼鏡で見てしまいます。
愚痴はさておき、そんな猫も杓子もSUV(あるいは既存車種に化粧をしたSUVもどき)、ランボルギーニやマセラティだって醜いSUVを作るほどの虚しいトレンドの源流はほかでもない「ハリアー」です。都市型SUV、都会派SUV、プレミアムSUV、なんちゃってSUV……まあ呼び方はどうでもいいのですが、要するに「お高くとまった見掛け倒しのSUV」ばかりがもてはやされる末法の世ができあがった元凶と言っても過言ではありません。
そんな本家の最新型に乗ってみれば、ここまでボロクソに言うほどバカにするようなものではなかったと改心するかもしれませんし、しないかもしれません。どちらに転ぶとしても、物は試しで乗ってみるには適切な車種でしょう。
さて、前置きはこれぐらいにして(この罵詈雑言を“前置き”の一言で済ませて良いのか?)本題に入りましょう。今回借りてきたのは2020年発売の4代目ハリアー。グレードの見分け方は詳しくないので分かりませんでしたが、少なくともハイブリッド車ではなく、2L直4のガソリンエンジン車でした。
この手のジャンルの車としては古参車種で、4代で25年も続いているわけですからネームバリューは確かでしょう(見栄で選ぶなら大事なところです)。私のようにあまり詳しくない/興味がない人が見ても、遠目に見ると新型とまでは分からなくてもフォルムだけで「あれはハリアーだな」と分かり、近寄るとシュッとしたLEDライトなどを見て「あ、新型か」と伝わります。ハリアーらしさと新しさ、どっちも伝わるデザインのバランス感覚は絶妙で、顧客が求めることをよくわかっているんだなぁと感心しました。
(カレコさん、なんで都内配備の車をわざわざ仙台トヨペットで買ってるんだろう……?)
横一文字のテールライトはLEDならではの造形でイマドキですね。けっこう好きですよ。でも、ウインカーをリアバンパーの低い位置に付けているのはちょっと……後続車から見た時に毎回「なんで?」と思います。空間設計上やむを得ない軽バンなら許しますが、こんな大きな車で見栄えのためだけにというのはありえないでしょう。
暗い時間帯の乗車だったためあまり撮れませんでしたが、内装は全体的に見ると最近のトレンドですっきりした印象を与えながら、実はレイヤーを重ねたような構造で意外と凝っているという感じ。マツダ3なんかも方向性としてはそうですよね。
カーシェアなのでおそらくエントリーグレードでしょうから高級感はそれほど感じられませんでしたが、素材の変わる上級グレードなら当然、価格相応の良い仕上がりになるでしょう。
荷室。ルーフがリアにかけてなだらかに落ちていく形状なのでそこまで広くないのかなと想像していましたが、車体自体が大きいのでそれなり以上の容量はあります。よほど背の高い荷物でなければまず困ることはないでしょう。
運転してみた感想としては、良くも悪くもだいたい想像通り。視点が高いから運転しやすいとかは別に……アイポイントも車体の大きさも同じぐらいで見切りの良い箱型のミニバンのほうが普通に運転しやすいんじゃないですか。まあ、大きさの割にストレスはないかなという程度です。細かいことを言えば、大きなドアミラーが手前寄りに付いているので、右折時などに死角が気になりました。
舗装のきれいな市街地を低速走行している分には静粛性は高いですが、路面が荒く流れの速い郊外のバイパスなどを走ってみると案外突き上げやロードノイズが気になり、言うほど良くはないなと感じました。
171馬力の2L NAで車重1,500kg強なら一見そこまで非力でもない気がしますが、同車種のハイブリッドモデル、そしてディーゼルのライバル車と比べるとトルクがずっと低いので余裕はありませんね。高級感のあるちょっと良い車というつもりで買うならガソリンの廉価グレードでなく余裕の出るハイブリッドを選ばないと、ローパワーゆえの“頑張ってる感”がミスマッチな印象を生んでしまいそうです。
結論としては「こんなのが良いの?」という思いは残念ながら変わらず。なんとなくこのジャンルならCX-5の方がずっと良さそうだなと思っているので、機会があればそちらも乗ってみたいですね。