今月もG-SHOCKを買ってしまいました(先月はGW-M5610U-1JFを購入)。しかもまたオリジン、またまたフルメタルです。
フルメタルのGMW-B5000シリーズは、すでに定番のシルバーモデルを一本持っています。重いし装着感も悪いので(とにかくフィットしない)ほとんど使うことはないのですが、モノとしては好きですし、誕生までのストーリーも熱いんですよね。
初代モデルの形状を金属でそっくりそのまま再現してしまったという高級感と遊び心あふれるルックス。そして一点モノのショーモデルのはずだった金無垢G-SHOCKから一般市販フルメタルG-SHOCKの登場に至るまでの反響と経緯。ただの丈夫で安いデジタル時計ではなく新しい地位を築き始めている現代のG-SHOCKを語る上で、GMW-B5000シリーズは外せません。あの40万円のMRG-B5000だって、これがなければ影も形もなかったでしょうから。
そんなわけで、私の中では「使わないけど手元には置いておきたい」という謎の枠に収まっていたGMW-B5000。でも、実用上の不満以外にもひとつだけ不満がありました。それは「色」です。
腕時計としては一番普通で使い勝手の良い、シーンや服に合わせやすい色だからシルバーにしておいたのですが、このギラギラ感は正直あまり好みではありません。
G-SHOCKとしては高めでも所詮は5,6万の時計ですから歪みのないきれいな鏡面とは行きませんし、これならもっと落ち着いた質感にしてくれた方がまだごまかしが効いて安っぽく見えないのにな……と常々思っていました。そして、欲を言えば通常液晶よりも反転液晶の方がかっこいいのにな、とも(※ツヤありブラックやウレタンバンドのB5000は反転液晶)。
「落ち着いたマット仕上げで反転液晶の、もっと渋いB5000があれば良いのに」そう思っていた私にとって、3月に発売された新色「GMW-B5000MB-1JF」はまさに理想。でもシルバーを買って半年も経っていないし、そんなに何本も同じ型いらないし、となんとか耐えてスルーできた……つもりでした。
別の新モデル(GA-B2100)を見ようとKITTE丸の内にある直営店に行ったら、まだあったんですよ。うっかりケースから出してもらって眺めてしまい、まあこれがやはりカッコいいわけです。
限定色と明言されてはいませんが、おそらく昨年のパープルIPなどと同様に1回限りの生産で終わるパターンだそう。しかしB5000シリーズは定価と実売価格の乖離が激しく、まさか直営店で77,000円も払って買うわけにはいきません。これは見ちゃいけなかったんだ、実質もう買えない物なんだから……そう自分に言い聞かせてなんとか退店しました。
その日の夜、ヨドバシカメラの時計売り場を通りかかったら、ここにもGMW-B5000MB-1JFがありました。おや?ヨドバシ.comではもう無さそうだったのに(ちゃっかりチェックしていた)。
懲りずにケースから出してもらい、やっぱ良いな~などと言いながら試着したりひとしきり眺めたりした後、「でもこれ、もう在庫ないですよね」とこぼすと、店員さんは在庫棚を確認してから「ラスイチ、今ご覧になっている物で良ければありますよ」と一言。確かにこれも売り物だったな……意識が戻った時にはなぜか会計が済んでいました。
まったく買う予定の無かった「同じ時計の色違い」を無計画に衝動買いしてしまったようにも見えますが(※してます)、実はそんなに無茶な話でもありません。
61,600円+10%還元というヨドバシの価格設定はどこよりも安いですし、不要になったシルバー(GMW-B5000D-1JF)も4万円ぐらいで売れますから、実質的な負担はせいぜい1.5~2万円程度でしょう。ウレタンのG-SHOCKを1本無駄に買った程度と思えばまあ許せます。
もう買えない/買わないつもりだった物が突然降って湧いたようなものなので、久しぶりに気分の良い買い物でした。早速持ち帰って眺めてみましたが、やはり同じ時計でも色が違うだけでだいぶ印象が変わりますね。
ホーニング加工(サンドブラスト)を施したマットブラック(グレー?)のボディは、タフなG-SHOCKのイメージによく合います。GMW-B5000の定番色(シルバー/ブラック/ゴールド)はどれもドレッシーな印象ですよね。それはそれでG-SHOCKの無骨な造形とのギャップが愉快で遊び心があって良いのですが、このマットブラックは本来のイメージそのままに高級感や質感を高めた正統派という感じで素直にカッコいいです。
ケース全体にマットブラックのIP処理を施してから、ベゼルの一番高い部分(G-SHOCKのロゴがある面)だけはあえて一度色を付けた面を削ってヘアライン加工をしているそう。このため、光の当て方や見る角度によっては枠だけシルバーに輝いて見えますが、水平に近い角度から見ると周りと同じマットブラックに見えるというなんとも不思議な加工となっています。
ベゼルも全部マットブラックだったら良かったのにという人もいるでしょうが、おそらくそれだと単調な見た目になりすぎるのでしょうね。カシオのCMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)へのこだわりは凄まじく、このモデルに限らず発想豊かで多彩なアプローチが取られていてなかなか興味深いです。
もちろんブレスのコマやバックルもすべてマットブラック。スクリューバックは通常色と同じで、光沢のあるブラックです。
ブレス部分でちょっと面白いのは、コマの端、つなぎ目に隠れる部分だけが光沢仕上げになっているんですね。この部分が全体の統一感を崩さない程度に鈍く反射してくれるおかげで「フルメタルらしさ」が演出され、下手したら樹脂モデルとそう変わらないように見えかねないマット塗装ゆえの表情の乏しさを補ってくれています。
ボタンやビスもブラックに統一されています。ケースの造形は他の色と変わらないはずですが、鏡面よりも陰影がはっきりと浮かび上がる分、シルバーよりも心なしかエッジが立って見え、イケメン度が上がっています。
視認性なら白バックの通常液晶ですが、やっぱりカッコいいのは黒バックの反転液晶ですよね(文字の色ムラは写真特有のもので実物はきれいに抜けて見えます)。どちらかといえば視認性の悪い色とは言っても、そもそもGMW-B5000シリーズの液晶はデジタルのG-SHOCKの中でもトップレベルの良い物なのでちゃんと見えますよ。ソーラー充電、6バンド電波時計、Bluetooth、オートライトなどの機能はもちろん通常色と同じです。
銀ピカや金ピカでいかにも特別なG-SHOCKです、という成金チックなぐらいの強い主張はありませんが、G-SHOCKらしさはそのままにグレードアップしたような渋くて大人びた一本。よく見たらなんか違うぞ、というぐらいの控えめさがちょうどいいです。