2022年6月16日に発表、23日に発売された「OPPO Reno7 A」。Reno Aシリーズには毎回、コンセプトを端的に示したキャッチコピーが付けられていますが、今年は「ときめき、長持ち。」とのこと。プレスリリースの中でも「“生活の一部であるスマホを、より長く使い続けられるように”という思いを込めて」「36ヶ月使用しても持続するサクサクな操作感を実現」など、長く快適に使える機種とアピールされています。
私もこの機種を発売日に購入して使っており、最新機種である現時点ではさほど大きな不満はなくそこそこ快適に使えていますが、3年も使わせることを考えて作られた機種としては疑問が残る部分もあります。
OPPO Reno7 Aの長持ち要素
問題点の指摘に入る前に、ひとまずOPPO Reno7 Aの「長持ち」要素はどの辺にあるのか、褒められる部分もまとめておきましょう。
まず、例のキャッチコピーが向けられている主な対象は「サクサクな操作感が36ヶ月続く」ということで、メモリ圧縮方式の変更などソフトウェアの面でシステムの劣化を減らす工夫を施し、だんだんと操作がもっさり遅くなってくるのを防いでいるそうです。
また、新機能ではありませんが、バッテリーの劣化を抑える機能も重要でしょう。OPPOのColorOSには、スマートフォンを就寝中に充電する人が多い=必ずしも最速で充電する必要がないことに着目し、わざと“低速充電”をしてバッテリーの負担を減らす機能があります。ユーザーの生活パターンを分析して、朝までに充電が終わる程度のペースでわざとゆっくり充電するのです。
ハード的にもIP68相当の防水・防塵であることはもちろん、フロントパネルにはAGC製の保護ガラス「Dragontrail STAR2」を採用したタフな仕様となっています。
疑問点①:発売時点で及第点のスペック
歴代Reno Aシリーズのスペックを振り返ると、初代OPPO Reno A(2019年10月発売)はSnapdragon 710にメモリ6GB、OPPO Reno3 A(2020年6月発売)はSnapdragon 665にメモリ6GB、OPPO Reno5 A(2021年6月発売)はSnapdragon 765にメモリ6GB、そして今回のOPPO Reno7 AはSnapdragon 695にメモリ6GBです。
毎年コロコロとSnapdragon 6シリーズ/7シリーズを反復横跳びしていることに関しては、販売価格を維持しながら、その時点で予算内に収まる最良のパーツをブランドにこだわらず選んできた結果でしょうから、批判するつもりは一切ありません。
むしろ、表面的な情報だけで「765から695に退化した」とピーピー騒いでいる浅薄で声だけデカい連中のことは苦々しく思っています。Reno5 Aの発売時点でもすでに少し古かったSnapdragon 765Gより、今の最新ミドルレンジチップであるSnapdragon 695の方が速いですしね。
ただ、そもそも初代Reno AでようやくOPPOが日本市場向けに本腰を入れた機種を出してきた時、何に衝撃を受けたんだっけ、と思い返してみると、Reno7 A(というかReno3 A以降すべて)は「あの初代Reno Aほど輝いては見えない」というのも正直な感想なのです。
初代Reno Aの時ってすごかったんですよ。当時の基準では同価格帯よりワンランク上のミッドハイレンジに近い性能でしたし、画面内指紋認証なんてまだハイエンドですら搭載したら目玉機能になるぐらいでした。防水/おサイフケータイ対応、カメラもそこそこ、(画面内指紋認証の兼ね合いで)ディスプレイは有機EL、おまけにサイズ感も良く個性的なグラデーションカラー。これで35,800円ってなんじゃそりゃ!?というレベルの優秀さでした。
少しフォローしておくと、今の市場環境で初代Reno Aのようなインパクトを出すのは無理でしょうし、日本市場ですでに良いポジションを得つつある今のOPPOがそこまで攻めた機種を出す必要もないと思います。
しかし、ミドルレンジの価格で半歩上のスペックだったはずのReno Aシリーズはいつの間にか、少なくとも基本性能においては並のミドルレンジに落ちてしまいました。「Snapdragon 695ってそんなに悪くないよ」というのも「発売直後の現時点では及第点」というレベルで、これから何年も使っていくほどの余裕はありません。もっと安いAQUOS wish2やmoto g52j 5Gにだって載っている程度の石ですから。
疑問点②:OSバージョンアップの不安
個人的にはSoCのことはまあこんな状況では仕方ないだろうと割り切っているのですが、本当に長く使わせる気があるのか疑問なのはOSのほうです。
Reno7 Aの発売時点のシステムはColorOS 12(Android 11ベース)。昨年のReno5 AはColorOS 11(Android 11ベース)でしたから、独自カスタムの部分こそバージョンが上がっているものの、コアはそのままということです。実はReno5 AにはすでにAndroid 12へのアップデートが配信されているので、見ようによっては旧機種以下のソフトウェアで出てきてしまったとも言えます。
Reno7 AもAndroid 12へのアップデートは行うとメディアの取材などに対して明言されていますが、そもそもミドルレンジ以下の機種ではそれほど積極的にOSバージョンアップをするメーカーではありませんし、貴重な1回を発売時点で後手に回った部分のフォローに使われてしまっては先々の望みは薄いと思います。
単なる売り切りの物販であるオープンマーケット版の収益構造を考えれば、長期的なアップデートは基本的にメーカーの負担でしかなく、売り手目線では莫大なコストをかけて信頼を買える程度の得しかありません。
SoCやOSのベンダーとの連携も欠かせず、先のことを確約しにくいOSバージョンアップの保証まではこの価格帯では難しいかもしれませんが(シャープは良い意味でおかしい)、長く使えることを売りにするならせめてセキュリティパッチだけでも約束してほしいものです。
まとめ:本当に長く使うつもりの人には私ならオススメしない
10万円以上の機種を買って2年も3年も小さな不満を増やしながら長く大事に使うより、5万円ぐらいの機種を半年や1年で変えていった方が気持ち良く使えるという人に対しては、OPPO Reno7 Aには今選ぶだけの十分な魅力があると思いますし、私もそのつもりで買っています。
しかし、本気で3年も使わせるつもりで作っているとしたら、発売時点でちょうど良すぎるのです。それほど長く使えるような余裕は正直ありません。
そもそもこの手の機種は発売日を待って我先に買うようなものではなく(発売日に買った人が言うことでもないけど)安けりゃ平気でモデルチェンジ直前に買う人だっているんですよ。そこまで考えれば「36ヶ月使える」と主張するには事実上4年近く先のことを約束しないといけないという重みがあるはずですが、相応の覚悟を持った製品とは思えませんでした。