カーシェアで「Honda e」に乗った感想

ノリモノ

ホンダ直営のカーシェアリングサービス「Honda EveryGO」で電気自動車「Honda e」を借りて乗った時の写真とメモを発掘したので記録しておきます。試乗時期は2021年1月頃とだいぶ前の話ですがお付き合いください。

見た目はかわいいけどお値段はかわいくないことでおなじみ(?)のHonda e。並のコンパクトカーより狭く、航続距離・居住性・積載性のどれを取ってもかなり割り切りが必要なシティコミューターに400万円以上出せる人はそう多くないはず。

稀に試乗車を置いているディーラーもありますが、買うわけもない車を試乗するのは迷惑でしかないので気が引けますし、こういうメーカー公式カーシェアという形で、お金を払えば気軽に興味本位で試せる場所があるのはありがたい限りです。

ひとまず外観をぐるりと一周チェック。愛嬌や親しみやすさがありながらも、しっかりと未来感の主張もある良いデザインですよね。ボディサイズは全長3,895mm×全幅1,750mm×全高1,510mmということで、フィットより少し幅はあるけれど(なので3ナンバー)全長は短めです。

EVが欲しいとはまったく思いませんが、この車の内外装は大好きなので、そっくりそのままe:HEVにしてフィットよりちょっと高いぐらいだったら(むしろフィットがこんな感じだったら)大歓迎なんですけどね。

シートはファブリック素材、インパネなどには木目調のパネルを配し、リビングのように明るく居心地の良い内装となっています。コンパクトカーにサンルーフというのは日本人の感覚だと過剰な装備にも思えますが、この車の主戦場はやかましい環境ゴロが多数生息していて、自分たちのエゴに全世界を巻き込もうとしてくるf**kな地域欧州ですから、日照時間が短くサンルーフの需要や普及率がはるかに高いという向こうの市場に合わせたのでしょうね。

水平基調のインパネに、左右ぶち抜きで5枚のディスプレイが並ぶ様はいかにも近未来の車。両端の2枚はデジタルサイドミラー、運転席の正面はメーター、残りの2枚はナビやインフォテインメントシステムに使われます。

デジタルサイドミラー搭載車はもちろん初めて運転しましたが、ルームミラーのそれよりもはるかに曲者でした。距離感が非常に掴みづらいため混み合った市街地ではちょっと怖い思いもしましたし、正直あまり普及しないでほしい……。

前方にはスペースを食うような機構がほとんどない分、前席の足元は異常に広いです。裏を返せば、そこらのコンパクトカーよりも全長が短い上に後輪駆動なわけですから、後部座席の足元空間は絶望的ですし荷室も激狭。いろんな意味で、お金持ちのご近所お買い物用セカンドカーにしかなり得ない車です。

ここのところ、メーカーによっては本格的な普及に向けて、あえて電動モーター特有の出足の鋭さをマイルドに抑え、従来車とのフィーリングを軽減したような味付けの車種も出てきています。

しかし、Honda eは価格的にも販売規模的にもまだまだ実験的な色合いが濃いですし、そもそもホンダ車ですからそんな軟弱路線に走るはずがありません。電動車の強みを遺憾なく発揮した鋭い加速には、EV否定派でも1mmぐらい心を動かされました。

とは言っても、変速機なしのEVなので高速域まで伸びるわけではありませんから、一番気持ち良く走れるのはストップアンドゴーを繰り返す街中ですね。RRなのでステアリングの切れ角が大きく小回りもとても効きますし、走行性能の面でもやはりシティコミューターとして輝く仕様です。

それなりに魅力もある車ではありますが、トータルとしてはEV指名買いの人ですら現実的な選択肢になり得ないレベルの出来ですし、乗ってみて改めて、何十分もその場に拘束される充電という行為の移動手段としての不自由さを感じます。ましてや、これからEVの台数が増えてくれば、充電スポットの取り合いを避けられない過渡期にはもっと使い勝手が悪くなるでしょう。

私個人の意見としては、日本の住宅事情、エネルギー事情、既存の自動車産業におけるアドバンテージ、どれを取っても安易に欧米のEVゴリ押しの流れに乗るべきではないと考えています。そういう意味ではホンダの「2040年までに脱エンジン」という勇み足で短絡的かつ浅薄な経営戦略には失望しましたし、トヨタの社長、いや、日本の自動車業界全体のリーダーとしての豊田章男氏の考えと行動は頼もしく思っております。環境問題という大義名分のきれい事の裏に隠された、欧州の我田引水でしかない気味の悪い同調圧力を、ぜひともロジカルかつパワフルに弾き返していただきたいものです。

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