多少なりとも写真やカメラの知識がある人なら、「黒以外のカメラを買うなんてありえない、馬鹿丸出しの初心者だけだ」と思っている人は多いのではないでしょうか。私ももちろんそうです。
見た目で買う人が多いエントリークラスの機種にだけは、見た目でしか選べない層や大して撮りもしないのにファッションでぶら下げてる層向けにホワイトその他のカラーバリエーションを用意しているメーカーもありますが、中級機以上(それもさほど上の機種ではなく、下から2番目以上)では大抵ブラックしかありません。例外としてはクラシックデザインの機種にシルバーがある程度です。
カメラのボディカラーというのは遊びで選ぶ余地がある要素ではなく、光を捉える裏方の装置である以上、成果物に悪影響を与えないことが大前提。光学機器の外装なんてのは映り込みにくい黒に全部塗っときゃいいんです。なんなら、気にする人なら服も全身真っ黒というカメラマンも多いですからね。
と、ここまでは完全に静止画寄りの撮影が中心の意見。最近、野暮用があって「DJI Pocket 2」という動画用のジンバル一体型カメラを買ったのですが、その際に「発売から2年も経っている物を買うのは最新ガジェット好きとして気分が悪い、追加色の白なら1年落ちで済むから白にしよう」という非常にくだらない理由で、柄にもなく白いカメラを選んだのです。
そして、新しいカメラを街中に連れ出し、真夏の東京で数時間歩き回りながら撮影を敢行した結果……タイトルの通り「白いカメラなんてありえない、でも動画機なら意外と合理的かも」という感想を持ちました。
というのも、ただでさえ継続的に高い負荷がかかる動画を回しながら、直射日光という敵まで加わると発熱がシャレにならないんですよね。なんとか熱停止するような状況には至らず無事に撮り終えましたが、これが黒だったら危なかったかも?というラインでした。冷却ファンを搭載しているような本格的な動画向けミラーレスならともかく、ライトな動画機なら白を選ぶことにも旧来の考え方とは別の合理性があるかもしれません。
そもそも、立派な望遠レンズの数々が白い鏡筒を採用しているのだって、決して見た目で威圧するためではなく元々はそういう理由ですからね。映り込みや直射日光、どちらが大敵になるかはシーンやフィールド次第だということです。