夏はカメラ機材を軽くコンパクトにしたくなる季節。普段はNIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VRをつけっぱなしにしているZ fcにも、あまり使わない日はパンケーキレンズ的なものをつけておきたくなってきました。
しかし、そうは言ってもZマウントはまだ発展途上のシステム。パンケーキと言えるほどの薄型レンズはまだないんですよね。一応、2023年までのロードマップで予告されている26mm単焦点がパンケーキらしいです(シルエットが写っている全レンズ並びの公式画像があったと思うのですが見当たらず……)。ちなみに、DX専用(APS-C)の24mmはパンケーキというほどではなく、発売済の28mm F2や40mm F2より少し薄い程度のサイズ感のようです。
そんなわけで純正パンケーキレンズはまだまだお預けになりそうですが、先日、中国Venus Opticsの「LAOWA」ブランドから何やら面白そうなレンズが登場しました。
「LAOWA 10mm f/4 Cookie」というE/X/L/RF/Zマウント向けのMF専用単焦点レンズです。「パンケーキどころかクッキー並みに薄いぜ」ってことを言いたいネーミングなんでしょうけど、そこまで薄くは見えなくて普通にパンケーキじゃね……というのはさておき、パンケーキで超広角って珍しいですよね。普通、極薄のレンズを作ろうとしたらどうしてもフランジバックとの兼ね合いで作りやすい/作りにくい焦点距離がありますから。
超広角レンズなんてどうせ絞ってパンフォーカスで風景を撮ることが大半ですし、パンケーキレンズの軽快さ・気軽さと案外相性が良さそうに思えます。同じ理由で、開放F値がF4と単焦点レンズとしては暗めなこともあまり大きな欠点にはならないでしょう。これはまた面白い物を考えたな、と感心しました。このレンズに限らず、LAOWAは超広角やマクロを中心に風変わりなレンズばかり作っていて、そこらの安物中華レンズとは違って確かな個性を持った魅力的な製品が多いと感じます。
LAOWA 10mm f/4 Cookieの扱いについて、7月30日時点ではまだLAOWAの日本代理店であるサイトロンジャパンからの発表はありません。ただ、(海外の)LAOWA公式サイトではもう売っているので、あれこれと手を尽くせば一足先に手に入れることは可能でしょう。こんなに楽しそうなレンズなのにお値段はたった299ドルというのがまた良いですね。
LAOWAのクッキーを買う方向で気持ちが決まりかけていましたが、ふと「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRってどうなんだろう」と思い、フォトヨドバシの記事なんかを読んでみると、これも中々良さそう(パンケーキとまでは言えないかもしれませんが)。
エントリー機のキットレンズ、それも沈胴式ズームなんて聞くと、どうしてもその時点で「どうせ右も左も分からん初心者を釣るだけのクソレンズで、コンパクトなだけが取り柄だろ」という偏見を持ってしまうのですが(たぶんEマウントユーザー時代の記憶のせい)、そこはさすがZマウント。このサイズですから当然電子補正頼みの部分は大きいのでしょうし、ボケの質は二の次のようですが、限られた力を解像重視に振って期待以上の写りに仕上げているように見えます。
まだ見ぬ純正26mmパンケーキを待ったりLAOWAの10mmを輸入してみる前に、ひとまず入手性も良くお値段も手頃な16-50mmを買って試してみようかな、というのが2022年夏時点での結論です。