12.9インチの大型ディスプレイを搭載した高性能Androidタブレット「LAVIE Tab T12」をNECパーソナルコンピュータ様よりお借りして2週間ほど試用しました。前モデルの兄弟機(ややこしい)にあたる「Lenovo Tab P11 Pro」を個人的に使っているので、前世代からの進化にも注目しながら使用感をお伝えします。
「LAVIE Tab T12」ってどんな機種?
LAVIE Tab T12(T1295/DAS)は、NECパーソナルコンピュータが2022年3月17日に発売したAndroidタブレットです。LAVIEシリーズのAndroidタブレットは2万円強のローエンドモデルから10万円クラスのハイエンドモデルまで幅広くラインナップされており、今回お借りしたのは最上位機種。NEC Directでの価格は102,080円です(※クーポン適用前)。
2~3年前までは、Androidタブレット市場全体を見渡してもこのクラスの機種がすっかり無くなってしまった空白の数年間がありましたが、最近はAndroidタブレットに再注力するメーカーが増え、Googleも次期OSでのタブレット対応強化に動いています。Lenovo/NEC陣営も今ハイエンドAndroidタブレットに挑戦している数少ないメーカーのひとつで、Lenovoブランドでは「Lenovo Tab P12 Pro」、NECのLAVIEブランドでは「LAVIE Tab T12」という兄弟機を発売しています。
LAVIE Tab T12は、12.6インチの大型かつ高画質な有機ELディスプレイ(OLED)を備え、Qualcommの準ハイエンドSoC「Snapdragon 870」を搭載し、メモリは8GB、ストレージは256GB。JBL製のDolby Atmos対応クアッドスピーカーを内蔵するほか、専用キーボードカバーやスタイラスも用意し、コンテンツ視聴からクリエイティブな用途まで幅広くこなせる高性能タブレットに仕上げました。

2022.07.17
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スペックも画面サイズも前世代より一回りパワーアップ
搭載されるSoCのグレードも画面サイズも変わっているので、新型/旧型と捉えるべきか上位機種と捉えるべきかは見解が分かれるかもしれませんが、LAVIE Tab T12(Lenovo Tab P12 Pro)はLAVIE Tab T11(Lenovo Tab P11 Pro)の後継機にあたります。
上の写真は、左下が私物のLenovo Tab P11 Pro、右上がLAVIE Tab T12。こうして見るとあまり変わらないようにも見えますが、幅2cm、高さ1.3cmほど大きくなりました。寸法的には約285.6×184.5×5.6mm / 約565gということで、画面サイズは大きくてもベゼルが狭く、イヤな威圧感はない印象。ちょうどモバイルノートPCの上半分を取り外したようなサイズ感です。
シンプルで上質なデザインも11インチモデルと基本的に変わらず(ロゴの違いは発売ブランドの違いによるもの)。
厚さ5.6mmと非常に薄いことも、大画面のタブレットでありながら軽快な使い勝手に貢献してくれています。後述のキーボードやスタンドなど充実したオプションをつい着けっぱなしにしがちですが、時々外してみるとあまりの薄さに驚きます。
パワーアップしたのは画面サイズだけではなく、中身のスペックもミッドハイレンジから準ハイエンド級に上がっています。LAVIE Tab T11(T1195/BAS)と比較すると、
・LAVIE Tab T11(T1195/BAS):Snapdragon 730G/メモリ6GB/ストレージ128GB/11.5インチ(2,560×1,600)有機EL
・LAVIE Tab T12(T1295/DAS):Snapdragon 870/メモリ8GB/ストレージ256GB/12.9インチ(2,560×1,600)有機EL
ということで、きれいにすべてワンランク上になっていますね。現行のAndroidタブレットとしてはトップクラスのスペックなので、言うまでもなく動作は快適。冒頭で触れたようにハイエンドのAndroidタブレットは数年間絶滅していた時期があり、ゲームはともかく実用アプリでこのクラスの機種のスペックを活かしきれるようなものが少ないことが惜しまれます。
唯一気になる点としては、画面サイズは拡大されたのに画面解像度は据え置きのため、近くに寄ってじっくり見ると粗が見える場面があります。絶対的な解像度不足というよりはRGBサブピクセル配列によるもの(おそらくペンタイルかSストライプじゃないかと)だと思うのですが、細い線で描かれたボタンアイコンなんかを見ると、場所によって本来は同じ太さのはずの線が不揃いに見えてしまうのが弱点です。
専用キーボードやペンなど純正アクセサリーも優秀
11インチの前世代と同様に、オプション品も充実しています。今回は「スタンドカバー付きキーボード」と「デジタルペン2」を本体とセットでお借りしました。
まずキーボード。この手の「キックスタンドで立つタブレット+画面カバーを兼ねたキーボード」というパターンのものはWindows、Android、Chrome OS(Chromebook)の各プラットフォームで色々触ってきましたが、SurfaceシリーズやThinkPad X1 Tabletなど、これまで触ってきたどの機種の専用キーボードと比べても過去イチで素晴らしい出来でした。
こういうカバー兼キーボードはどうしてもペラペラで打鍵感には期待できないものと思っていましたが、たわみも少なくしっかりとした小気味良いクリック感があり、IdeapadやThinkBookの通常型ノートと同等ぐらいには打てます。サイズが大きい分、キーレイアウトにも余裕がありますしね。
しかもこれ、どう見てもポゴピン接続の有線利用しかできなさそうなスリムさなのに、実はBluetoothでも使えるんですよ。
デジタルペン2は4096段階の筆圧検知に対応。仕様や書き心地はそれほど変わっていないものの、収納方法に面白い工夫があります。
まず本体の背面にマグネットでペンを貼り付け、上からスタンドカバー(専用キーボードに付属)を被せれば、マグネット式の弱点である不意に外れて行方不明になる事態を防げます。
カバーを外さないとペンを出せないのは不便?いやいや、ちゃんと背面カバーの一部だけをめくってペンを出し入れできるようになっているのです。
2週間使ってみた感想
以前Lenovo Tab P11 Proをお借りして、しばらくしてから個人的事情でタブレットが欲しくなり、借りてレビューした物と同じLenovo Tab P11 Proを購入して使っています。LAVIE Tab T12をお借りしている間は、普段Lenovo Tab P11 Proを使っている場面でそのまま置き換えて使ってみたのですが、順当に進化していて実に良いですね。
対角12.9インチという数字だけを見るとiPad Proの一番大きいモデルと同じぐらいの大きさをイメージされるかもしれませんが、実際にはこちらの方が横長なのでちょっと感覚が違います。世の中の映像コンテンツの大半は16:9で作られていますから、それに近い比率(16:10)の大画面でしかも発色の良い有機EL、さらにクアッドスピーカーで音も良いというのはメディアプレーヤーとしては非常に魅力的です(それだけで10万円出せるかというと難しいでしょうが……)。スピーカーのクオリティ自体はLenovo Tab P11 Pro(LAVIE Tab T11)とそれほど変わらないかと思いますが、画面サイズが拡大された分、左右のスピーカー間の距離も取れて音の広がりが増したようにも感じます。
そして、先述の通りキーボードカバーがとても良く出来ているので、このタブレットを買うならぜひ純正アクセサリーも一式揃えていただきたいですね。PCライクなUIに切り替えられるモードもありますし、このブログ執筆のようなブラウザ中心の作業なら結構こなせたりします。値の張る機種ではありますが、その価値に見合うと納得できる用途がある方にはとてもおすすめできる良機種です。