小型ジンバルカメラ「DJI Pocket 2」(サンセットホワイト)レビュー

カメラ

先月、ジンバル内蔵の小型ビデオカメラ「DJI Pocket 2」を購入しました。しばらく使って感じたことをまとめておこうと思います。

ドローン譲りの高性能ジンバルを搭載した小型ビデオカメラ

DJI Pocket 2は、ドローンメーカーとしても有名な中国DJI社から2020年10月に発売された、小型のジンバル一体型カメラです。2018年12月に発売された「DJI Osmo Pocket」の後継機となります(2年周期だとすればそろそろモデルチェンジが近いかも?)。今回私が購入したのは、2021年7月に発売された新色「サンセットホワイト」です。

124.7×38.1×30mm/117gというコンパクトなボディに、ドローン譲りの3軸ジンバルを内蔵しており、大がかりな機材を用意しなくても手軽に安定感のある映像を撮れることが最大の利点です。

先代モデルから進化した点としては、センサーが1/2.3型1200万画素から1/1.7型6400万画素に変わり、レンズも35mm判換算で26mm相当から20mm相当にワイド化。スローモーション撮影の秒間コマ数や内蔵マイクも強化されています。

サンセットホワイトのセット内容は微妙

この手のジンバルカメラやアクションカメラなどの動画用小型カメラではお決まりの展開ですが、撮影シーンに応じて様々なアクセサリーを取り付けて機能を拡張していくのが前提になっているので、本体購入時にも付属品の異なるセット(コンボ)が複数用意されています。ある意味、本体を買ってからが沼の始まりとも……

DJI Pocket 2の場合、先に発売された「ブラックの通常版」「ブラックのCreatorコンボ」と後発の「サンセットホワイトの限定コンボ」で3通りのセット内容があります。各セットの違いについては、販売代理店のセキドさんのサイトが詳しく見やすいです。

ざっくり言えば、サンセットホワイトのセット内容は、ブラックの通常版とCreatorコンボの中間とも言える非常に中途半端な内容です。

通常版とCreatorコンボの最大の違いはワイヤレスマイクとその親機のような役割を果たすDo-It-Allハンドルが入っていることなのですが、サンセットホワイト限定コンボには片割れのDo-It-Allハンドルだけが入っています。一応ほかの使い道もあるので無意味というわけではないものの、高価なDo-It-Allが抱き合わせになっているせいで、大して使えない割にブラックの単品より7,000円ほど高くなるのはいただけませんね。

そこまで分かっていてなぜサンセットホワイトを買ったのかというと、発売から2年近く経った製品を買うというのはガジェット好きとしてどうも敗北感があり、新色を選べばその抵抗が1年分薄れるからです。

外観や付属品をチェック

サンセットホワイトは純白ではなく、“サンセット”という名の通り、夕焼けに照らされた雲のようなほんのりピンクっぽい色味になっています。まぁ写真だと伝わりにくいんですが……なかなか個性的でかわいい色ですよ。

細かい話ですが、このシリーズは初代も2も本体(グリップ部分)が四角いのが使い勝手に意外と効いています。画面が小さい故に撮影中にプレビューで画角をしっかり確認するのは難しいのですが、手の感覚でカメラの向きをつかみやすいので、正面に向けたり横に視線を振ってみたり、ノールックでもコントロールしやすいんですよね。

基本構造は先代のOsmo Pocketと同様で、持ち手の部分には小さなスクエアディスプレイと電源や録画開始など最低限の操作ボタンだけが付いています。画面とボタンの間には小さな拡張パーツを取り付けられるスペースがあり、USB Type-C/Lightningコネクタを付ければスマートフォンに接続できます。

スマートフォン連携に関しては、Android/iOS向けアプリ「DJI Mimo」の利用が前提となっており、スマートフォンの大画面でプレビューや設定をしながら撮影したり、DJI Pocket 2単体で撮影した動画をスマートフォンに取り込んで簡易的な編集をしたりできます。

記録媒体がmicroSDだからなのか、それともUSBの仕様の問題なのか、転送はとても遅いので4Kで撮っていたりするとちょっと厳しいかな……電池が残っていて起動できる状態でないとUSBコネクタ経由では転送できないので、大人しくmicroSDを抜いてやり取りした方が良いと思います。コネクタに負担がかかりそうな形状もどうも気がかりですし。

この部分に取り付けられる「ミニ操作スティック」は初代にはなかったオプション。小さなスティックを動かして画角調整またはズーム操作(デジタルズーム)ができます。ミニマルすぎた操作性を補完するアイテムとしてはなかなか有用。

安定性は◎、画質はそこそこ

ジンバルの安定性やカメラ自体の画質については、実際に撮った映像を見てもらった方が話が早いと思いますので、YouTubeに上げておいた動画をいくつかお見せしつつ話します。

上の動画は晴天の昼間に歩きながら撮った動画。さすがにセンサーを多少動かす程度の光学手ぶれ補正や映像処理による電子手ぶれ補正とはレベルが違い、歩行時の揺れをほとんど抑えられています。

画角的には先代の26mm相当から20mm相当に広角化されてはいますが、それでもGoProなどのアクションカメラと比べるとまだ狭いぐらいなので、周囲の様子も写しつつ自撮りで会話するYouTuberさんとかには向かないでしょうね。マグネット固定で着脱できるワイドコンバージョンレンズが別売りで用意されているので、用途によってはそちらを着けることが前提になると思います。

こちらは夜間に撮った動画。安定性は昼間と変わらず良好ですが、シャッタースピードの低下によるブレが気になりますかね。あまり意識せず昼間と同じような速さで左右に振ってしまったため、やや見苦しい場面がありますね。

カメラ自体の性能はそう高くないため、夜は厳しいかな?と予想していましたが、意外とノイズはそれほど目立ちません。ただ、看板などの明るい部分がことごとく白飛びしてしまっているのは気になるところ。

上の2本はFHD/30fpsで撮影したものですが(というかDJI Mimoで編集を済ませようとすると結局FHDまでしか書き出せないので)、この動画だけ仕様上の上限となる4K/60fpsのサンプルとして用意しました。小さなカメラですがそこそこ撮れます。

スマホ用ジンバルを買うべきか、ジンバルカメラを買うべきか

DJI Pocket 2はOsmo Pocket比で地味ながら確実に改善されていますし、このジャンルはほぼDJIの一人勝ちで、他に売られているのは有象無象の模倣品だけであることを考えると、こういう物が欲しいならとりあえず買っておけば間違いない製品ではあります。

ただ、そもそも本当にジンバル一体型の小型ビデオカメラが必要なのか?ということは購入前に一度よく考えてみるべきだとも思います。場合によっては帯に短したすきに長しで終わってしまう、中途半端とも言えるスキマ製品ですから。

DJI Pocket 2って5,6万するんですが、カメラ部分の性能はそれほど高くないというか、ハイエンドとは言わないまでも今時のちょっと良いスマートフォンを持っている人なら普通にそっちの方が良いです。成果物だけに目を向ければ、DJI OM5なりDJI OM4 SEなり、スマートフォンを載せるタイプのジンバルを買った方がはるかにコストパフォーマンスに優れています。

コンパクトで気軽に持ち歩けて、ボタンひとつでいつでもすぐに撮れるという機動力の高さは魅力ですが、フル充電から実使用では2時間ぐらいしか撮れませんし、バッテリー交換も不可。microSD仕様なのが災いして、あまりたくさん素材を撮り溜めると後処理でデータ転送の待ち時間が増えがちです。短尺動画の撮影あるいはサブ機材として動画内のワンカットに使う程度の補助的な役割を持たせるなど、軽めの使い方に特化した機材だと思います。

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