14インチで870gの軽量モバイルノート「LAVIE NEXTREME Carbon」を使ってみた

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NECパーソナルコンピュータ様のご厚意で、14インチモバイルノートPCの2022年モデル「LAVIE NEXTREME Carbon」(LAVIE Direct NEXTREME Carbon)をお借りしました。2週間ほど使ってみたのでレビューします。

「LAVIE NEXTREME Carbon」ってどんな機種?

LAVIE NEXTREME Carbonは、2022年春モデルで完全新作として投入されたばかりの最新機種。モバイルノートとしては少しゆとりのある14インチという画面サイズを確保しながら、非常に軽量に仕上げたプレミアム路線の機種です。

ジャパニーズメーカー/ブランドのPCというと、どうしても国産信仰、あるいは手厚いサポートを必要とする年配者が選びがちという垢抜けないイメージが付きまといますが、2022年春のラインナップでは従来のLAVIEシリーズとはターゲットの異なる上位ブランドとして「LAVIE NEXTREME」が立ち上げられました。デザイン性や付加価値(本機種の場合なら軽量化)を高め、従来ならジャパニーズブランドを視野に入れていなかったであろう若年層(特にZ世代)にも訴求しようという入魂の新シリーズです。

そんなLAVIE NEXTREMEシリーズの第一弾に“14インチ軽量モバイルノート”というお題が選ばれたのは、NEXTREME以前から同社が得意としているジャンル、自信を持って送り出せるジャンルだという理由もあるでしょう。ブランド再編の話を一旦脇に置いておくと、実質的には「LAVIE Pro Mobile」系統の後継機とも言えます。

「LAVIE NEXTREME Carbon」というのは固定構成で販売されるカタログモデルの名称で、本体重量は883g~とされています。それでも前身のPro Mobileより軽いぐらいで十分すごいのですが、今回お借りしたマシンは直販サイト(NEC Direct)で販売されるカスタマイズモデルの「LAVIE Direct NEXTREME Carbon」。こちらはバッテリーをはじめとする各パーツの構成によって本体重量が変動するため、最軽量モデルではなんと870gとなります。

参考までに、仕様機の構成は以下の通り。CTOで選択できる最小構成で、軽さまたはコストを重視するなら実際に選ぶ人も多い仕様でしょう。

型番:PC-GN255WSAT
OS:Windows 11
CPU:Core i5-1135G7
メモリ:8GB(LPDDR4X、オンボード)
SSD:256GB
ディスプレイ:14.0型ワイド(WUXGA)ノングレアIPS液晶
バッテリー:標準バッテリー/連続駆動時間約15.0時間
本体色:ペールゴールド

超軽量なのに意外なほどしっかりしたボディ

私自身はこれまでにLAVIEを購入・所有したことはないのですが、いわゆるホームノートパソコン以外で言うと、「異常に軽いノートPCを出しているブランド」というイメージが未だ鮮烈に残っています。もう10年前の話になりますか……Ultrabook(死語)の時代に誕生した「LaVie Z」という当時の世界最軽量ノートPCはかなりインパクトがあり、周囲のガジェットオタクにも何人か実際に買って使っていた人がいたんですよね。

当時のLaVie Zを何度か触らせてもらった印象としては「軽さ全振り」。外装はペラペラで、実物を見ればなるほど、ここまで無茶をやって軽くしているのかと納得したものです。画面が割れたなんて話もコミュニティ内では人づてに一度や二度ではなく聞こえてきました。

そんな「極端に軽いマシンは、リスクと引き換えに軽さを手に入れているものだ」という古い先入観を持ちながらLAVIE NEXTREME Carbonを手に取った印象は……第一印象は当然「軽っ!」。そして次に、無理を感じさせないしっかりとした作りで涼しい顔をしながらこれだけ軽量化していることに驚きました。

ボディ全体で見ても、少し力をかけてみてもたわみませんし(特に下半分がすごくガッシリしている)、軽量化やコストを考えると手を抜かれやすいキーボード面だって、意地悪に中央付近を強めにタイピングしてみてもびくともしません。正直、普段使っているアルミボディのThinkBook 13s Gen 2の方がキーボードはたわみまくりなぐらいです。

そう、LAVIE NEXTREME Carbonのキーボード、すごくいいんですよ。この手のモバイルノートの内蔵キーボードは軽量化や薄型化の犠牲にされやすい部位なので、あまり期待せず打ってみて驚きました。

節度のあるクリック感でストレスなくタイピングでき、小気味良い打鍵音もよし。さすがにJIS配列を前提に作っているであろうメーカーなので記号部分のキー幅を変えたり無理な詰め込み方をするようなこともなく、整った配列で手に馴染みやすいことも美点です。

同クラスのLIFEBOOK UHシリーズも初期型の不評を糧に今ではキーボード単体で製品化されるレベルまで進化しましたが、あれと張り合えるぐらいにはLAVIE NEXTREME Carbonのキーボードも良い出来だと思います。

カーボン素材は裏方に徹していて表面はサラサラした全面塗装なので、見てくれは「プラスチックかな?」という感じ。高そうには見えませんね。でも、奇をてらわないシンプルなフォルム、ノイズレスな各種印字やロゴなど、さすが若者にもアプローチしたいというだけあってジャパニーズブランドのPCっぽくない洗練されたデザインになっています。個人的には結構アリ。

左側にはUSB Type-Cが2口とmicroSDカードリーダー、右側にはフルサイズのUSBポートとHDMI、イヤホンジャック。薄さや軽さ、あるいは見た目のために拡張性を犠牲にしていない点は好感が持てます。

展開時にディスプレイ側の後端が接地するスタイルのヒンジ形状となっています。エアフローもそれを活かして、本体の真後ろからディスプレイに吹き付けて真上に熱を逃がすような設計。手元が熱くならず、膝上で使っても排熱が伝わりにくいため、人間には優しい構造です。長期的に考えると液晶パネルには優しくない気もしますが……。

ディスプレイは14インチのIPS液晶で、最近の主流である“脱16:9”で縦方向に広がったWUXGA解像度(1,920×1,200)。下辺のベゼルも削った4辺狭額縁仕様は、スマートフォンを見慣れた目にも決して野暮ったくは映らないはずです。軽量モデルの激戦区は13インチでしょうけれど、あえて最軽量争いには加わらず14インチでやっているからこそ出来ていることもあるのでしょうね。キーボードのゆとりとか。

軽くて速くて画面は大きめ、機動力重視なら魅力的な機種

LAVIE NEXTREME Carbonはかつての最軽量マシンの血統を継ぐ軽量モバイルノートPCではありますが、かつてのような話題性の高い称号を穫るためのマシンではなく、その成果をきちんとユーザーのためになる形で還元した実用的な軽量マシンだ、というのが使ってみた感想です。

考えてみれば、ほとんどの人は一度PCを買い換えたら数年は他を知らずに使っていくわけで、ある時点で最軽量かどうかということにはそれほど大きな意味はありません。買い替え前の数年前のPCより明らかに軽く、それで利用スタイルが広がれば万々歳でしょう。

LAVIE NEXTREME Carbonを買ったら間違いなくこれまでより気軽に持ち出せるようになるであろう軽さですが、それでいて扱いに気を使うような繊細なものでもなく、作業の質を高める良いキーボードも付いており、画面も少し広く使える14インチ。軽さを言い訳にしない作りで、軽量化の代償を払うことなく優れた機動性だけを手に入れられる良質なモバイルノートPCでした。

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