「Pixel 6a」レビュー:5万円台で買える機種としては極めて優秀

デジモノ

1年半ほどメインのスマートフォンとして使ってきた「Pixel 5」から新型の「Pixel 6a」に移行して1ヶ月ほど経ちました。結論としては、各方面で値上がりが続く今、5万円程度で買えるスマートフォンとしては極めて優秀。間違いなく「買い」の機種です。

「Pixel 6a」ってどんな機種?

Pixel 6aは、2022年5月に開催された「Google I/O 2022」で発表され、7月28日にGoogleから発売されたAndroidスマートフォン。Google ストア(公式オンラインストア)のほか、日本ではauとソフトバンクからも発売されています。

Pixelシリーズのスマートフォンは、毎年秋に発表・発売されるフラッグシップのナンバリングモデルと、半年程度ずれて登場するミドルレンジの「a」付きモデルの2系統に分かれています。

つまり、Pixel 6aは先に発売されたPixel 6に代わる新型というわけではなく、Pixel 6 ProとPixel 6の下位モデルとして追加されたわけです。なお、上位ラインの2機種については、後継機のPixel 7 ProおよびPixel 7を今秋に発売すると予告済みです。

Pixel 6とPixel 6aの主な違いを挙げていくと、画面サイズが6.4インチから6.1インチに縮小され、メモリも8GB→6GB、ストレージも256GBモデルは用意せず128GBモデルのみです。また、Pixelシリーズの売りのひとつでもあるカメラに関しても、Pixel 6世代で刷新された新型センサーではなく、Pixel 5aまでと同様のセンサー(約1,220万画素/IMX363)を搭載します。

しかし、裏を返せば、このようにダウングレードや差別化を図った個所を数えていった方が早いぐらい、基本的には上位機種のPixel 6と多くの要素を共有しています。その際たる例が、Google独自のカスタムSoC「Google Tensor」をそのまま搭載しており、ミドルレンジ機としては非常に優れた頭脳を持っていることです。

キャンペーンなどを抜きにして定価で考えると、Pixel 6は74,800円、Pixel 6aは53,900円と20,000円以上の違いがあります。上位機種と同等のパフォーマンスを誇ることを考えると、お買い得な機種ではないでしょうか。

Pixel 5からの移行先にPixel 6aを選んだ理由

個人的になぜ5から6aにしたのか、ナンバリングモデルの6や6 Proに行かずに廉価グレードの6aを選んだのかという話を少しさせていただくと、第一にPixel 6が気に入らなくてスルーしたから、そして「Pixelはナンバリングモデルよりa付きの方が実は出来が良いことが多いと思っているからです。

Pixel 6を買わなかった理由はいくつかあり、まず納得できなかったのはサイズ。準フラッグシップのPixel 6とフラッグシップのPixel 6 Proは、性能や機能だけでなくサイズにも多少の差があるのですが、正直どっちもあまり差がないぐらい大きすぎるんですよね。

画面サイズだけを見ると6.7インチと6.4インチでそれなりに差がありそうに見えて、実際にはProだけディスプレイの端を湾曲させてあるので、低コストな通常形状でベゼルも太い6はさほど小さくない……というか、体感的にはProの方が絞り込まれている分だけスリムにも感じるぐらいです。

また、実際に発売されて生のユーザーの声が聞こえるようになってくると「Tensor爆熱すぎ」「指紋認証がダメ」など色々と不穏な噂が聞こえてきて、ますます「今回は買わなくていいや……」となってしまいました。

Pixel 6は無理だったけど6aならいいかな、と思えた理由もまずはサイズ。Pixel 6をそのまま縮めたような見た目で、画面サイズは6.1インチ、本体の幅は71.8mmに。長く使った(当社比)Pixel 5よりはまだ大きくて重いですが、許容範囲には収まりました。

そして、これまでほぼ全世代のPixelスマートフォンを使ってきた経験上(まったく使っていないのは第2世代だけ)、案外フラッグシップモデルより廉価版のa付きモデルの方が出来が良いことが多いんですよね。

これは発売サイクルの問題で、フラッグシップで大胆な仕様変更をしてトラブルを起こしたり不評を買ったりして、数ヶ月後のミドルレンジでは色々改善していい感じになってる……という、信仰心の強い人ほど損をする悪い流れができてしまっているせいかと。3aは3よりトラブルが少なく良作でしたし、4a(4G)も良く出来たコンパクトスマホでした。

外観:Pixel 6をそのまま縮めたような見た目

では、そろそろ本題に入りましょう。まずは外観から。

背面を見ると、上下で色分けされたパネルとそれを横切るカメラバンプという構成はPixel 6にそっくりです。カメラユニットの違いからか、よく見ると例の黒帯は細く、段差も減り、少しスタイリッシュになりました。

ちなみに、背面パネルの素材は「高温成形された3D合成素材」と表記されています。煙に巻くような表現ですが、要するにちょっと頑張って上位機種のガラスパネルに似せたプラスチックです。

続いて前面。縦152.2mm×横71.8mmのボディに6.1インチの有機ELディスプレイを搭載し、インカメラはパンチホール型で中央に配置。Pixel 6と同様に、最新世代のスマートフォンとしてはちょっとベゼルが太く野暮ったい印象を受けます。

ボディカラーはSage/Chalk/Charcoalの3色が用意されていますが、色の違いは背面パネルのみで、メタルフレームはすべてブラックです。マットな質感ながら少しギラついた粒子感の残る反射具合となっており、おそらく演出なのでしょうけれど、見ようによっては質の低い中華スマホのメタルボディみたいに見えなくもないような。

ボタンの配置は従来と変わらず、右側に電源キーと音量キーを配置。SIMカードトレイは左側にあり、充電端子はUSB Type-C。Pixel 5a(5G)までは廉価機にはイヤホンジャックが残されていましたが、6aでついに廃止されました。

色々と細かいことを書きましたが、こうしてPixel 6aを眺めてみると、Pixel 6シリーズのデザインって存在感がありすぎるカメラバンプさえ整えればそんなに悪くなかったんだな、と思えてきます。Pixelらしい遊び心のある色使いをツートンカラーの背面パネルに委ねつつ、黒いフレームで締めたデザインは某人気スマホケースに通じるものがあるかも。

スペック:Google Tensor採用で同価格帯では最速

Pixel 6aのスペック
・SoC:Google Tensor
・メモリ:6GB(LPDDR5)
・ストレージ:128GB(UFS 3.1)
・ディスプレイ:6.1インチ 有機EL 2,400×1,080(FHD+)/60Hz
・アウトカメラ:約1,220万画素 F1.7(広角)+約1,200万画素 F2.2(超広角)
・インカメラ:約800万画素 F2.0
・対応バンド:
  5G Band n1/n2/n3/n5/n7/n8/n12/n20/n25/n28/
      n30/n38/n40/n41/n48/n66/n71/n77/n78
  4G Band 1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/17/18/19/20/
      25/26/28/29/30/38/39/40/41/42/48/66/71
  3G Band 1/2/4/5/6/8/19、2G 850/900/1,800/1,900MHz
・SIM:nanoSIM+eSIM
・Wi-Fi:IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax(ハード的にはWi-Fi 6Eも今後対応可能)
・Bluetooth:Bluetooth 5.2
・バッテリー:4,410mAh
・充電端子:USB Type-C
・OS:Android 12(発売時)→Android 13(執筆時点)
・防水/防塵:IPX7/IP6X
・生体認証:指紋認証(画面内)
・FeliCa:対応
・サイズ:約152.2×71.8×8.9mm
・重量:約178g

先述の通り、Pixel 6やPixel 6 Proと同じ「Google Tensor」が搭載されています。TensorはSamsung Exynosベースのカスタムチップだと噂されていますが、少なくともGoogle主導で開発されてGoogleの自社端末だけに使われるSoCなので、廉価機のためにわざわざ別のSoCを用意するよりは少しでもTensor搭載機の生産数を増やした方が何かとメリットが大きいという判断なのでしょう。

ユーザー目線では、Tensorは正直10万円クラスの機種に積まれるSoCとしてはあまりうれしくない、はっきり言って普通にSnapdragon 8シリーズを積んで欲しいものでしたが、5万円台の機種に降りてくると明らかに一般的な同価格帯の機種では得られない性能なのでお得感があります。メモリ容量は減っても、とてもこの価格帯の機種とは思えない快適な動作です。

パフォーマンスに関する最大の不満は、やはりPixel 6で指摘されていた発熱問題が根本的な解決には至っていないこと。CPU/GPUの高負荷時の発熱に関しては、気になったのは初期セットアップ中に大量のアプリをインストールしている時やゲームをテストプレイした時程度で、SNSやブラウジングなどの日常利用では気になるほどではありませんでした。各々の使い方次第では案外大したことないとも言えます。

しかし、万人に関係する場面として、充電時の発熱が気になるところ。単にスリーブ状態で充電しているだけでもけっこう熱くなるので、Tensorがどうのこうのというよりは充電制御に問題があるんじゃないか?と疑っています。電池持ちも良くはありませんが、普通に1日しっかり使えるぐらいには持つのでさほど不都合は感じていません。

このほか、さらっと流した項目を補足しておくと、Pixel 6比で防水等級はIPX8→IPX7(単純に「8から7に下がった」と言えるような上下関係にはないのですが、この機種に限った話でもないので詳しくは各自で調べてください)、ディスプレイ面の強化ガラスはGorilla Glass Victus→Gorilla Glass 3、リフレッシュレートは90Hz→60Hz、ワイヤレス充電には非対応と、細かいところであちこち削られています。まぁ、そりゃ2万円以上違いますからね。

UI/UX:安定のPixel。Android 13も配信済み

UI/UXに関しては、正直いまさら語ることもないぐらい。いつも通りのPixelです。

PixelはかつてのNexusシリーズのようなリファレンスモデルではなく、Androidの本家であるGoogle自らが直接エンドユーザーに届けるコンシューマー向けのスマートフォンなので、必ずしもPure Androidというわけでもなく、見た目や機能をPixel向けに弄っている部分も少なからずあります。

って、私はPixelのレビュー記事を書くたびに何回同じ話をしてきたんでしょうね。いつまでも「Pixel=リファレンス端末=素のAndroid」と誤解したままの人が一定数いるのは、Google自身がOSの新バージョンを発表する度にどこまでがPixelだけの特別な要素なのかを(わざと?)曖昧にしがちなのがいけないんじゃないかな……などとどうでもいいことを考えたり。

とはいえ、同じ人たちが作るものですから、「素のAndroid」と「Google自身がコンシューマー向けにアレンジしたAndroid」にそこまで大きな違いがあるわけでもありません。“余計なもの”が嫌いな我々にとって使い心地の良い機種であることに変わりはないです。

変に省略されている部分もなく、基本的に上位機種と遜色ない操作感です。ただ、ハードウェア的には90Hz駆動も行けるディスプレイパネルを60Hzに制限して載せているという話だけは、現実的なコストの問題ではなく価格に見合った違いを演出するためだけに魅力を削がれてしまっているという意味で少し残念。

Pixel 6aはあくまで廉価機なので、Pixel 6になかった新機能は基本的にありません。唯一、カメラの後加工で使えるAI機能に「カモフラージュ」という周囲から浮いている色の被写体をカメレオンのように溶け込ませられる機能が追加されており、これはしばらくの間6aのみ先行して使えました。現在はPixel 6/6 Proでもアップデートで使えるようになっています。

Pixel 6とPixel 6aのユーザー体験を比べた時に、プラスに大きく変化したところがあるとすれば指紋認証でしょう。

Pixel 6ではシリーズ初の画面内指紋認証が採用されたものの、精度や反応速度への不満が多数挙がっていました。海外発の分解レポートなどによれば6aではセンサーの供給元が変更されているそうで、実際使ってみてもそう悪くはありませんでした。認証にかかる時間も成功率も、多くの機種を触ってきた感覚として光学式の画面内指紋認証ならこんなものだろうというレベルです。

ちなみに、新機能というわけでもない小ネタですが、背面指紋センサー搭載機がほとんどだった過去のPixelシリーズから買い替える方は「指紋センサーをスワイプして通知を開く」という操作に慣れている人がけっこう多いんじゃないかと思います。便利ですよね、あれ。

画面内指紋認証になると、指紋センサーは通常の操作に使うタッチパネルの下ですから当然あれはできなくなってしまいます。しかし、実はAndroid 12以降の片手モードでは「片手操作用に画面を縮小する」と「通知を表示」のどちらかの操作を設定でき、後者にしておくとナビゲーションバーを下にスワイプするだけで通知が開きます。これなら、背面指紋センサーが無くなっても画面上部まで指を伸ばすことなく操作できますよ。

カメラ:望遠が不要なら上位機種にさほど劣らない

Pixel 6aのメインカメラには、Pixel 3からPixel 5aまで使われ続けたソニーのIMX363というイメージセンサーが採用されています。レンズもサブの超広角カメラも、どこかで見たような構成です。

廉価版Pixelが初めて登場したPixel 3aの時には、当時の上位機種であるPixel 3と比べて「カメラ性能は据え置き、SoCは価格なりにダウングレード」という仕様でしたが、いまのPixel 6aは「カメラ周りで節約、SoCは上位機種といっしょ」と真逆の作りになっているのがちょっと面白いですよね。

ハード的には“いつものPixelのカメラ”なので、直前まで使っていたPixel 5と似たような写りをするのかなと思っていました。しかし、最近のスマートフォンのカメラはコンピュテーショナルフォトグラフィーが前提ですから、ハードよりもソフトが仕上がりを大きく左右します。特にPixelシリーズはそこに力を入れていることで定評がありますし、6aでも惜しまず最新世代のチューニングになっているので、画作りは完全にPixel 6シリーズだという印象。

新旧どちらのカメラチューニングが良いかは好みもあるでしょうけれど、個人的には屋内撮影時のオートホワイトバランスの安定感と精度が増したのは非常に助かっています。このブログの食レポ記事の写真もほとんどはPixelで撮ってますからね。

もしかしたら、広角1,220万画素+超広角1,200万画素というスペックを見て物足りなさを感じる人もいるかもしれません。ただ、昨今の5,000万画素や1億画素という機種は、通常時は数画素分の情報をまとめて処理することで実質的な1画素あたりの受光面積を広げてノイズ軽減や低照度下での性能向上に使っているケースがほとんどです。5,000万画素級の機種なら4-in-1で実効1,250万画素というパターンが多いので、最終的な成果物の精細さでいえば元から1,200万画素級のセンサーでも負けるはずはないんですよね。

十分な性能のある使い古されたセンサーで価格を抑え、コンピュテーショナルフォトグラフィーの最先端を走るGoogleのソフトウェアでばっちり仕上げるというPixel 6aのやり方なら、値段に対する写りの良さはトップクラスだと思います。6と6aの違いという観点ではカメラ性能はダウングレードされた部分と映ってしまうわけですが、同価格帯の他の機種との比較なら、スペックはさておき実際の写りは秀でています。

カメラで弱点があるとすれば望遠ですね。等倍で撮る分には先述の通り1,200万画素もあれば十分なものの、超広角+広角のデュアルカメラなので望遠を補うためにデジタルズームを使いたい場面はよくあります。拡大時に単純な切り取りではなく画質の劣化を抑えるような技術は当然入っていると思いますが、どうしても絶対的な解像度が足りず、2倍ぐらいまでに留めておかないと粗くなってしまうのはちょっと不便です。

総評:いま5万円前後でAndroidスマホを買うならこれ一択

Pixel 6aはコレといって大きな特徴や革新的な機能がある機種ではないのですが、非常に高いレベルでバランスの取れたお買い得感の強い機種だと思います。

5万円台半ばでハイエンド並みの処理性能、スペック上はおとなしいけれど良く撮れるカメラ、使用キャリアを問わない充実した対応バンド、そしてGoogleの自社ハードならではの迅速かつ長期的なOSアップデートなど見どころ満載。もちろん、これまでのPixelシリーズと同様にFeliCaやeSIMも使えます。欠点は、ゲームとかやる人は発熱とバッテリーが厳しそうってぐらいですかね。

この機種は2022年5月に発表されて7月に発売ということで、発表から発売までの間に急速な円安の進行や部材コストの上昇があったはずですが、予告通りの53,900円という価格をキープしてきたことも驚きでした。周囲の値上がり傾向もあり、この価格帯で同等以上の内容の機種は他にないのではないでしょうか。

関連記事

TOP