スマホは常に複数台持ちの私、回線も当然複数用意しておく必要があります。昔と違ってMNOの回線を安く(使える状態で)維持できるような時代でもありませんから、ここ数年は使用頻度低めのサブ回線にはMVNOも色々試してみているのですが、最近使い始めた「NUROモバイル」がなかなか良い感じ。3ヶ月ほど使ってみたので評価しておきたいと思います。
NUROモバイルの「NEOプラン」とは?
NUROモバイルは、ソニーネットワークコミュニケーションズが提供するドコモ/au/ソフトバンク回線のMVNOです。同社のMVNO事業といえば、以前はISPでもおなじみの「So-net」ブランドのサービスや0円プランの先駆者ともいえる「0 SIM」などがありましたが、ここ数年で再編され、現在は家庭用の光回線と同じNUROブランドに統一されています。
現行の料金プランは「バリュープラス」と「NEOプラン」の2系統に分かれています。ざっくり言えばバリュープラスは安さやコスパ重視の格安SIMらしいプラン、NEOプランは品質重視という付加価値を与えられたプランです。
NEOプラン系統を細かく見ると、2,699円/月の「NEOプラン」と2,090円/月の「NEOプランLite」があり、データ容量はどちらも同じ20GB。普通に考えたらちょっと意味が分かりませんよね。
NEOプランとNEOプランLiteの違いとしては、LINE/Twitter/Instagram/TikTokの通信量がカウントフリーになる「NEOデータフリー」、上り通信がカウントフリーになる「あげ放題」、定期的に追加のデータ容量をもらえる「Gigaプラス」という機能がNEOプランにだけ付いています。
一方、共通している点としては、専用帯域のおかげで通信品質が高く安定していること(後ほど解説します)とデータ容量超過後の速度制限が1Mbpsと緩いことが挙げられます(バリュープラスは200kbps)。
一見同じ20GBプランのように見えて、ねらいが少し違うわけですね。シンプルに容量と通信品質だけを求めるならNEOプランLite、機能を駆使して契約容量以上に得して使いたい人にはNEOプランが適しているでしょう。
良かった点①:MVNO離れした通信品質・安定感
正直、いろいろ試してきているのでMVNOに通信速度や品質はあまり求めておらず、使用頻度の低い端末を低コストでいつでも使える状態にしておけるぐらいの役割しか持たせないようにしているのですが、NEOプランは期待以上に使えました。
MVNOの仕組みを軽くおさらいしておくと、基地局などの通信設備を持ち現実にモバイルネットワークを展開している大手キャリア(MNO)から帯域を間借りして運営しているため、MNOとの契約上、雑に言えば「全ユーザーが同時に流せる通信量の上限」があります。
お昼休みのピーク時などに使いものにならないほど速度が低下してしまうMVNOは、ユーザー数に対して借りている帯域が足りていないということです。もちろん帯域幅を増やせばその問題は解消されますが、安さが命の一般的なMVNOにとって、原価に直結する帯域増強はそう易々と行えるものでもありません。結果、ユーザーがブチ切れて離れて行ってしまわない程度の最小限の帯域幅に詰め込んでいくビジネスモデルとなってしまう場合が多いのです。
NUROモバイルの場合はここが少し特殊で、バリュープラスや旧プランのための帯域とNEOプラン/NEOプランLite用の帯域は別々に管理されています。前者に関しては他社と同様に詰め込んでいるのでしょうが、NEOプランは“上級会員さま専用帯域”で快適に通信できるというわけです。
具体的な数値はMNOとの契約や戦略上の機密事項になるので当然開示されておらず、ユーザーから見れば「別枠だからといってNEOプラン専用帯域が快適な混雑度に保たれている証拠はないのでは?」と運営の良心に委ねられた状態でしかない危うさは感じますが、今のところは至って快適。
上の2枚のスクリーンショットは、平日の12時台と14時台に同じ場所・同じ端末で行ったスピードテストの結果です(東京23区の屋内4GエリアにてNothing Phone (1)で測定)。
平常時の下り70.0Mbps/上り16.6Mbpsという余裕の結果もさることながら、一般的に混雑による速度低下が最も深刻とされる12時台でも上下ともに10Mbpsオーバーを記録したことには驚きました。これは他のMVNOではなかなか望めないことです。
良かった点②:太っ腹すぎるカウントフリー機能
大容量で(最近の基準だと中容量かな)そこそこ安くて速いというだけでもサービスとして十分魅力はあると思いますが、NEOプランがすごいのはここから。使い方によってはデータ容量を使い切るのが難しそうなぐらい、カウントフリー機能が充実しています。
まず「NEOデータフリー」は、対象サービスではデータ容量を消費しないというよくあるタイプのカウントフリー機能。LINE、Twitter、Instagram、TikTokという各種主要SNSが対象となっています。私は基本Twitterとネットサーフィンしかしないので、この時点でだいぶ容量を消化できなくなってきました。
そして、もうひとつの「あげ放題」では、アップロード時(上り)ならほぼなんでもカウントフリーになってしまいます。動画投稿をしようが、ライブ配信をしようが問題なし、Google フォトなどへのバックアップもOK。
一応「継続した長時間の使用が見受けられた場合(監視カメラでの使用など)には、利用制限を行う場合がございます」という注釈がありますが、よっぽど極端な悪用をしなければセーフということでしょう。20GBプランと言っても、実質下りだけで20GB使えるので感覚はだいぶ違います。
良かった点③:実は20GBプランではない!?
ここまで「NEOプランは20GB」という前提で話を進めてきましたが、もうひとつの特典「Gigaプラス」の内容を踏まえると実質25GBプランと言えます。
GigaプラスはNEOプラン/VMプラン/VLプランを対象としており、NEOプランLiteにはない特典。NEOプランの場合、3ヶ月ごとに15GBのボーナス容量がもらえます。受け取り手続きが必要なので、もらい忘れには要注意。
「わざわざこんなことをするより、素直に25GBプランに改定してくれた方がわかりやすいのでは?」と最初は思っていましたが、実はそれなりに意味もあります。
通常のデータ容量は翌月末までしか繰り越せませんが、Gigaプラスのボーナス容量は有効期限が長め。毎月均等に5GBずつ使っていくこともできますし、旅行などで通信量が増えそうなタイミングが3ヶ月以内になるのなら、温存しておくという作戦もアリです。

2022.09.03
実は契約容量より多く使える!NUROモバイルの「Gigaプラス」って知ってた?
少し前からサブ回線として「NUROモバイル」のNEOプランを使っています。MNOから一定の帯域を借りて運用しているMVNOの常として、お昼時...
ちょっとした弱点①:NEOプランだと契約種別の自由度が低い
正直目立った不満はないのですが、べた褒めして終わるのも気持ち悪いというか疑いの目で見られそうなので、ちょっとだけ重箱の隅をつついていきましょうか。
まず、少し惜しいなと思っているのは、NEOプランを選ぶと契約種別の自由度がだいぶ下がってしまう点です。
冒頭でさらっと触れたように、NUROモバイルはドコモ/au/ソフトバンク回線を選べるマルチキャリアMVNOなのですが、NEOプランが選べるのはドコモ回線だけ。
プランの特徴の根幹部分にMNOとの契約条件が絡んでくるのでなかなか同じように横展開するのは難しいのかもな、と察してはいるものの、やはり一ユーザーとしては良いサービスなので色々な端末で使いやすくなったら嬉しいなとは思います。
また、NEOプランは音声SIMのみの提供であり、データ通信主体の2台目用途としては少し基本料がもったいなくも感じるところ。とはいえ、音声SIMより安く設定せざるを得ないデータSIMではコストとのバランスが変わってくるでしょうし、これもまた致し方ないところかもしれませんね。
ちょっとした弱点②:カウントフリー機能を活かすには“寸止め”が必要
「対象SNSの通信量はカウントフリー」「上りの通信量はカウントフリー」という特徴を持つNEOプランですが、データ容量を完全に使い切ってしまうとカウントフリー対象のサービスも巻き添えで通信制限がかかってしまいます。何のためのカウントフリーだというか、WiMAX 2+のハイスピードプラスエリアモードを思い出す落とし穴ですね。
このため、「データ容量はもうないけどLINEやTwitterは普通に使えるから大丈夫」という状態にするには、完全に使い切る前にセーブする必要があります。
そうは言っても、端末の通信量カウント機能ではカウントフリー分を除いた数値は分かりませんし、マイページをこまめに見たって結局は端末側で「カウントフリー以外の通信だけを止める」手段がない以上はセーブするのって難しいですよね……。
まとめ:立ち位置が難しいけれど、条件にハマればオススメ
MVNOを選ぶ以上は付き物だった通信品質のストレスがなく、20GB+カウントフリーで容量不足に悩まされることもなく、料金も高くない。単体で見れば非常に優秀なSIMで、NUROモバイルのNEOプランにはとても満足しています。
ただ、今の市場環境を考えると難しいポジションでもあるんですよね。ahamo(ドコモ)は2,970円/20GB、LINEMO(ソフトバンク)は2,728円/20GBと、ほぼ同じ価格帯で大手キャリア品質のオンライン専用プランを選べてしまうので、「MVNOでこの通信品質はすごい」という点に関しては訴求力が薄れてしまっています。
NEOプランを選ぶメリットがあるのはカウントフリー機能を存分に生かせるSNSヘビーユーザーぐらいでしょうか。そうでなければ、シンプルに2,090円/20GBで同品質のNEOプランLiteの方が、ahamo/LINEMOに近い使い勝手でもう一段階安い選択肢として有用かもしれませんね。どちらにしても、条件にハマれば選択肢に加える価値はあるサービスです。