レンズ交換式のカメラを使い始めて丸8年経ちましたが、当時は鉄道写真をよく撮ってたんですよね。SONYの高倍率ズームコンデジ(DSC-HX30Vだったかな?)からのステップアップでした。
色々と嫌気が差してここ5~6年はまともに撮っていないんですけど、最近オリンパスの「OM-D E-M1X」という動体撮影にめっぽう強いカメラを買ったので、テストにちょうどいいかなと久しぶりに“撮り鉄”してみました。
E-M1Xのどのあたりが動体撮影向きかというと、オートフォーカスや高速連写、オリンパスのお家芸とも言える強力な手ぶれ補正などといった基礎体力の高さに加え、特定の被写体に対して発動する「インテリジェント被写体認識AF」という目玉機能があり、これは鉄道/飛行機/鳥に特化した機能です。なんていうか……望遠特化でマイクロフォーサーズを買い支えている層のことを非常によく分かっている感じのチョイスですよね。
なお、望遠レンズはまだ買っていないので「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」の望遠端(換算200mm)を中心に使っています。一部トリミング・角度補正を行っていますが、露出や色味はノータッチです。撮ってきた場所ごとにさらっと説明しつつポンポンと並べていきます(あんまり語ってもねぇ)。
高輪ゲートウェイ駅(JR山手線)
新宿にあるみんなの防湿庫某カメラ屋でレンズを買った帰りに、ひとまず肩慣らし。山手線の新駅・高輪ゲートウェイ駅(って言ってももう2年半前か……)で降り、内回りホームの田町寄り(北端)から外回りの山手線が入線してくるところを撮ってみます。
当然7,8年前に撮っていた頃は影も形もなかった撮影地なわけですが、ひょっとすると今の山手線の駅撮りスポット(構内から撮れるスポット)としてはベストかもしれませんね。構図も作りやすいですし、ホーム自体が広いので仮に先客がいても余裕で撮れそうです。
ボディだけ持ってカメラ屋さんに行き、レンズを買って着けて帰ってきたところなので当然ろくに設定も何もしていない状態。ポジションに着いてすぐ電車が来たので、慌てて構えて素のAFで連写しただけの一枚ですが、この時点でもう「今時のミラーレスなら何のノウハウもなくても余裕で撮れるんだな」ということは瞬時に理解できました。置きピン必須で誰もAFなんか使っていなかったり、まだ(一眼レフではなく)ミラーレスでやってると奇特な人だと思われる空気だった頃が懐かしく思えます。
八ツ山橋踏切(京急本線)
次に行ってみたのは、京急本線の品川駅―北品川駅間にある八ツ山橋踏切。撮影スポットとしても「開かずの踏切」としても有名な場所です。本線系統の列車も空港系統の列車も必ず通る区間なので運行本数が多く、直通運転でやってくる他社の車両も含めて、高頻度かつバリエーション豊かな絶好の撮影環境です。
撮っていてとても楽しい場所ですが、あくまでも踏切。一度閉まると両方向の電車が何本も通る場合が多いので、遮断器の方向表示や周りの動きをよく見て立ち位置には細心の注意を払うべきでしょう。
どちらかといえばメジャーなのは下り列車を収めたこちら側の構図でしょうか。編成全体を収めることこそできないものの、趣のある鉄橋を背景にいい感じのカーブでカッコよく撮れます。しかも極低速で通過する区間なので、LED表示が切れないようにシャッタースピードを落としてもブレないのもありがたいところ。
でも実は、まったく同じ立ち位置で反対側を向くと上り列車もかなり良い構図で撮れるんですよ。換算300mmぐらいのレンズがあれば北品川を出て最初の右カーブを曲がってくるところでシャッターを切っても良いでしょうし、200mmぐらいまでなら上の写真のようにS字で車体を振り返すところまで待って撮ると躍動感が出ると思います。
しかし本当に、ひっきりなしにやってくる電車を1時間近く撮り続けていても大きく外すことがまったくないことに驚きます。高速連写のおかげでシャッターを切るタイミングをさほど細かく意識する必要がなく「後で選べばいいや」という状態ですし、AF任せでもピントも不安なし。撮っている間は構図だけ考えていれば良いんです(強いて言えば先述のLED表示器とシャッタースピードの限界値のことぐらい)。
橋本駅付近の歩道橋から(JR相模線)
これは単純にまだ撮ったことがなくてカッコいいなと思っていた新型車両(E131系500番台)を撮りたかったから行っただけなのですが、結果的にはE-M1Xの性能に助けられた撮影でした。
相模線ってちょっと田舎なイメージがありますが(失礼)、意外と見通しの効く開けた撮影地が少なく、やむを得ず橋本駅から徒歩10分ほどのこの場所を撮影地に選びました。縦構図で架線柱の間から撃ち抜けば、一瞬だけきれいに収まるタイミングがあるはず……という程度のシビアな撮影地で、決して撮りやすくはありません(おまけに失敗したら次のチャンスは20分後)。
縦位置グリップ一体型のカメラは初めて所有しましたし、素直に撮りやすいな~ということに加え、もちろん連写速度に物を言わせてパワーで解決する場面でもありました。
菊名カーブ(東急東横線)
東急東横線の菊名駅―妙蓮寺駅間にある有名撮影地、通称「菊名カーブ」。有名スポットかつ菊名駅から徒歩5分ほどと行きやすい場所ではありますが、めちゃめちゃ住宅街の中なので押しかけるのはほどほどに。
良い感じのアウトカーブ、高低差が凄まじくいかにも東横線沿線らしい背景の住宅地、駅出発直後でそれほど速度が出ていないのでLEDも切れにくい(下の作例切れてるじゃねえか、っていうのは無視して)など、なかなか都合良く映える場所だと思います。
ここも相互直通に関わる会社が多い路線なので、車両のバリエーションが豊かなのはやはり撮っていて楽しいですね。ついつい長居してしまいます。
国道駅(JR鶴見線)
都会の中のローカル線・JR鶴見線の国道駅は、戦前生まれの面影が色濃く残るレトロで味わい深い駅舎が特徴。鉄以外からもフォトジェニックな非日常空間として愛されています。
せっかく来たのでもちろん駅舎も撮りつつ(でもこういうところだとダイナミックレンジの狭さや色の安定感のなさが気になってくる……)、いざホームへ。
国道駅の前後は急カーブやちょっと草ボーボーで荒れた感じの路盤など、割と鶴見線らしさがあって普通に電車を撮るにも悪くないロケーションです。
撮り方のパターンはいくつか考えられるのですが、個人的にはこの写真のように上り電車(鶴見方面)を上りホームから撮るのが良いかなと思っています。ホームの先端まで行くと金網があったりでうまく収まらないので、ホーム中程で構えるのがポイント。ついセオリー通り端まで向かいがちですが、ホーム自体が曲がっているのでこちらからの方が狙いやすいです。
味わい深い駅舎との絡みを楽しむなら、鶴見駅で折り返し待ちの電車もぜひ撮っておきたいところ。鶴見線は元々は私鉄で第二次世界大戦中の戦時買収で国鉄に吸収されたという経緯があり、国道駅といい鶴見駅といい、かつての面影がまだまだ残っているからこそ普通のJR路線とは少し違った空気が感じられます。
KITTEガーデンからの流し撮り(JR東京駅)
最後に、東京駅丸の内口にある「KITTE丸の内」の屋上庭園、「KITTEガーデン」から流し撮りに挑戦した結果をお見せして終わろうと思います。
場所柄たくさんの路線を一度に眺められますが、ガラスフェンス(当然乗り出し禁止)の位置や高さの関係で、手前を通っている山手線や京浜東北線は撮りにくい……というかまともな構図では撮れないと思って良いです。少し奥を通る東海道線・上野東京ライン系統が一番撮りやすいかと。
実を言うと、被写体認識周りを試したり、流し撮りでもC-AFを食いつかせたりするにはどんな感じの設定にすれば良いのか探るために試しに行ったんですが……AF関係の設定が入り組んでいるというか分散しているというか、よく分からないままです。ここまでの各スポットでの撮影のように「何も考えずおまかせ」で行ける時は楽なんですが、ちょっと凝ったことをしようとすると洗練されていないメニュー構成やUIの悪さが響いてきます。
結局、ここは昔ながらの置きピン(MF)で実力勝負。とは言っても連写と手ぶれ補正の恩恵は受けていますけどね。手ぶれ補正はどうやら流し撮りでも切らないのが正解のようで、手間がかからず快適。
そんなわけで、もはや機材テストでもなんでもなくただ腕を披露しているだけになってしまいましたが、あと何枚かあるので見てやってください。

2022.10.01
「OM-D E-M1X」レビュー:今の値段なら体験しておく価値はある
オリンパスのミラーレス一眼フラッグシップ機「OM-D E-M1X」を中古で購入してしばらく遊んでみました。いまさらではありますが、せっかくな...