すでに他の記事でも見せびらかしているように、現在の私のメインカメラは富士フイルム「X-T5」。APS-Cで有効画素数4,020万画素という高画素センサーを搭載した最新機種です(どうでもいいけど、高画素機って慣例的に言いますけど言葉として正しいのは多画素じゃないんですかね?)。
新しいカメラを見せびらかしていたら、同じXマウントユーザーのおともだち(?)が変わったレンズを貸してくれました。
TTArtisan 35mm f/1.4 C、中華レンズですな。この手の物の中では割と有名な銘匠光学というメーカーの製品で、日本ではマウントアダプターなどでも知られる焦点工房が正規輸入しています。各社のAPS-Cミラーレスに対応したモデルが発売されており、MFレンズとはいえ、国内正規品でも新品価格10,800円という驚異の値段で売られている激安レンズです。
ただでさえ「こんなんまともに撮れるのか?」と思ってしまうのが自然なところ、純正レンズですら一部は太刀打ちできない最新の高密度センサーにあてがうなんて恐ろしいことは、ひょっとしたらまだ誰も試していないのでは……?怖いもの見たさでちょっと撮ってみようじゃありませんか。
もちろん電子接点なんて無いので撮影時の絞りの設定がどうだったかは記憶が頼りです。たぶんこれは開放じゃなくてちょっと絞ってるはず。
あまり良いサンプルではありませんが、なんとなくボケは硬そうなのが伝わるでしょうか。レンズのキャラクターとしては意外にもボケ味よりカッチリした描写に振っているようです。オールドレンズのような柔らかい写り(婉曲表現)を予想していたので、これは少々意外でした。
あくまで傾向の話であって40MPセンサーに追いつけるほどの解像力は当然ありませんから、そういう意味ではシャープにもゆるくもなりきれない、難儀な組み合わせかもしれませんねぇ。
じゃあ何ができるのか?といえば、パンフォーカスでラフに撮れ、というのがひとつの答えになるかと。味付けとしては限られたリソースを解像力に振ったレンズだろうと見抜いた通り、こういう遠景だと粗探しをしなければけっこう良く撮れているように見えますよね?
おっと、くれぐれも等倍で観察なんてしないように……でもこれ、きっと2,000万画素台の一般的なAPS-C機と組み合わせていたらこういうシーンではさほど不足を感じずに使えるんじゃないでしょうか。
ただし、時には派手にフリンジ(色収差)が出てしまう場面も。過度の期待はせず、条件が整ったときにお値段以上の写りを見せてくれたらラッキーぐらいのつもりで向き合いたいところ。
換算50mm近辺の画角ということもあってか、樽型・糸巻き型の気になるような大きな歪みは見受けられません。案外素性は悪くないと思わせられる部分もあります。
あえて意地悪なド逆光で撮った1枚。高度なコーティングなんてありませんからゴーストはもちろん出ますが、素直な出方で表現としては取り入れやすいでしょう。
非球面レンズなどの特殊レンズを含まないシンプルかつ古典的なダブルガウス構成なので、「あえて逆光にしてゴーストを入れる」とか「あえて光源からピントを外して玉ボケを作る」とか、“あえて”の行動をしたらきれいに教科書通りの反応を返してくれる分、ある意味コントロールしやすいレンズでもあります。
内部反射を抑えきれていないのか、画面外から斜めに入ってくるような光にはめっぽう弱いです。
「内部反射を抑えきれてないのかも」なんてすっとぼけてみましたが、実は見ちゃったんですよね……フォーカスリングを回して前玉を繰り出した状態で後玉側からレンズを覗いてみると、鏡筒内に思いっきり無塗装の金具が露出していて笑ってしまいました。そんなもん期待しちゃいけません。
一応別売りのレンズフードがあるようなので、気になる人は試してみてもいいかも。フードも金属製なのに990円と良心的な価格です。
結論としては、性能的にピークとなるF5.6~F8まで絞ってパンフォーカス前提で撮るなら24MP~26MP機なら思いのほか使えるはず、40MP機はさすがに厳しいですね。それはそう。
現代レンズのような性能は当然望むべくもなく、オールドレンズのような味わいを求めるには淡白すぎるというなんとも反応に困るレンズなのですが、あくまで「中途半端に意外と撮れちゃうもんだからオールドレンズ遊びともちょっと感覚が違うよね」という話であり、懐を傷めずにいろんな画角を試してみて自分の得意分野を探す練習用としては悪くないんじゃないかと思います。
単品1万円でも十分すぎるほどのビックリ価格ですが、「17mm F1.4+35mm F1.4+50mm F1.2の3本セットで4万円」なんて恐ろしいほど安いセットもあるそうですよ?

2022.12.16
2022年のカメラ・レンズ購入履歴を振り返って反省する
2022年も残すところあとわずか。基本的に何か新しい物を買った時にしか更新されない傾向がある本ブログですが、たまにはこれまでのお買い物を振り...