アメリカ生まれのラーメン自販機「Yo-Kai Express」(芝浦無人食堂)を体験してきた

グルメ

自販機大国と言われる日本ですが、飲み物の自動販売機やカプセルトイは全国どこにでも当たり前のように大量に存在する一方、食べ物系の自販機は意外とそこまで定着しきってはいません。せいぜい、昭和時代から生き残ったドライブインのような場所で、うどんやハンバーガーの自販機たちが近年「レトロ自販機」としてもてはやされているぐらいです。

そんな中、海外からの思わぬ刺客が2022年に上陸しました。アメリカ・シリコンバレーのフードテックベンチャー「Yo-Kai Express」が開発したラーメン自動調理自販機が、日本にやってきたのです。

上陸時から知っていて気になるサービスではあったのですが、設置場所が空港やPAなど(期間限定で東京駅に設置されていた時期も)限られているため行き損ねていました。最近、設置場所のひとつである首都高芝浦パーキングエリアに立ち寄る機会があったので、今更ながら体験してきました。

芝浦PAには2台設置されており、「芝浦無人食堂」と名付けられています。訪問時は1台は休止中でした。

芝浦PAといえばニチレイの冷凍食品自販機「24hr. HOT MENU」が絶滅する直前、最後の最後まで生き残っていたスポットでもあり、2~3年前には往年のPAやフェリーで食べた味を求めて訪れるマニアも多くいました。そんな場所に、生まれも育ちも異なる未来の食品自販機が帰ってきたというのはなんか良いですよね。

写真右端にある無人返却口(ゴミ箱)も凝っていて、スープの飲み残しがどうしても発生する麺類を提供しながら、ゴミを冷却保管することで臭いに配慮されています。実際、真横で商品を注文して待っていてもまったく気になりませんでした。ゴミ箱は国内の業務用厨房機器メーカーと首都高速道路サービスが共同開発したもので、Yo-Kai Expressの標準設備というわけではない様子。

さっそくタッチパネルを操作して注文してみます。上陸当初のメニューは「東京 Shoyu」「札幌 Spicy Miso」「九州 Tonkotsu」「鶏 Yuzu Shio」の4種で、少し遅れて有名店コラボの「一風堂博多とんこつラーメン」と「IPPUDO プラントベース(豚骨風)ラーメン」が加わったことまでは把握していたのですが、見てみてびっくり!聞いていた内容よりもかなりメニューが増えていました。

詳しくは公式サイトに掲載されている日本版のメニューを見てほしいのですが、ラーメンの種類が増えただけでなく、うどんやそばまで追加されています。

ちなみに、海外版のメニューも公式サイトで見られます(なぜかしっかり和訳されたページが用意されています)。見てみると中身は完全に違いますね。

メニューを決めたら、画面右の決済端末で代金を支払います。現金には非対応で、完全キャッシュレス仕様です。現金を扱うと国ごとに大幅なハードウェアの作り分けが必要になってしまいますし、グローバル展開を考えたらこれが正解でしょう。決済方法はクレジットカード(タッチ決済可)と各種コード決済が使えました。

約90秒で取出口が開き、出来立てアツアツのラーメンが出てきます。感覚的にはかなり速く、飲み物を買ったり席を取ったりしている間にいつの間にかできてる……ぐらいの感じ。

調理機構のクールダウンでも行っているのか、続けて買うには準備時間が必要な模様。友人と一緒に行って私が2番目に買ったのですが、メニューを選んでから決済までの間に数十秒、待機画面が出てきました。

自販機から取り出したラーメンは、フィルムでフタをされた状態。自販機内では冷凍保存されていて、スチーム技術が肝ということまでは公表されているものの、どんな風に調理されているのかとても気になります。「あなたのためにドリップ中」でおなじみのミル挽きコーヒー自販機みたいに、無駄にライブ中継なカメラ映像でも見られたら楽しそうですね。

今回は「燕三条 Se-Abura」(980円)を選んでみました。しっかりとコシのある太麺で、チャーシューも冷凍とは思えない食感。思った以上にちゃんとしたラーメンです。日本版のメニューにはテーブルマークが携わっているということもあって、味の面では「なんかアメリカンでちょっと違うかも……」みたいな心配はまったくないのでご安心を!

値段を考えると設置環境を選ぶ(「ラーメン屋行くわ」ってなっちゃう場所には置けない)と思いますが、それこそ現時点で設置されている小規模PAや空港ターミナルのようなところで、このクオリティの食事を24時間365日いつでも食べられるというのはかなりアリかと。うまいこと軌道に乗って定着してほしいサービスです。ちなみに、日本国内の設置場所リストはこちらで確認できます。

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