PC以外の作業や(まともにライティングするほどではない)軽い物撮りなどのために、デスクライトをひとつ備えておきたいな~と思っていました。
いろいろ探してはみたものの、やはりデザインの美しさや耐久性、物の向こうにあるストーリーなど様々な面で、ド定番ですが山田照明の「Zライト」がベストだろうという結論に。
一口にZライトと言っても公式サイトに載っている製品だけで20種類以上あるのですが、クランプ式・電球タイプの「Z-108N」というオーソドックスなモデルを選びました。色はブラック(Z-108NB)、8,000円ぐらいで買えました。
あまり大きさをイメージできていなかったのでなぜか通販ではなくて店頭受け取りで買ってしまい、長辺70cmぐらいある大きな箱を持って帰ることに。
開封してみると、本体はほぼ組み上がっていて、デスクに固定するためのクランプ、関節を支えるバネ(半分は装着済み)、電球、指挟み防止パーツがバラで入っていました。
指挟み防止パーツをつけると可動域がけっこう狭まるので、つけない人が多いようです。説明書を見ても必ずつけてくれというスタンスではない書き方でした。実際、構造上指が挟まった状態で締め付けられるような動きにはなりにくいですし、骨組みも角のない形状になっているので、お子さんがいる家庭でなければそこまで扱いに注意することもないかなと思いますね。私もつけませんでした。
事前によそのブログ等で下調べをしていたら組み立てに手こずっている人もちらほら見かけましたが、まったくそんなことはないと思います。机にクランプをつける(ハンドルを回すだけ)→アームにバネを2本掛ける→アームをクランプに取り付ける(上から差し込むだけ)というシンプルな工程で、2~3分で終わりました。
その「稀に苦戦してる人がいるポイント」というのは上の写真にあるバネを掛けるところなのですが、バネ自体は力まず伸ばせる程度の重さですし、説明書通りアームの関節を伸ばした状態で組み立てるということだけ守っていれば何も苦戦するところではありません。変なのに騙されないように。
電球、というかLED電球もちゃんと付属しているので特にこだわりがなければ別途用意する必要はありません。付属品はオーデリックのLDA7N-G/2、色温度5000K(昼白色)のものでした。
シェードの内側にある注意書きを見ると、付属品と同じ型番を含めてオーデリック製2種、東芝製2種のLED電球の型番が示されており、「適合ランプ以外の使用禁止」と書かれていますが……うーん。これがどれぐらいの強さで言われているものなのか測りかねますね。ただ言ってるだけで深い意味はなさそうならもっと高演色のものを入れたいところですが。
このようにロングセラー商品といえど時代の流れで現行製品は当然LED化されているわけですが、実はそこが電球由来のスポットライトタイプと蛍光灯由来のバータイプの運命の分かれ目になってしまっています。
電球系統の機種ならご覧の通りありふれたE26のLED電球を交換して使い続けられる一方、蛍光灯系統の機種(Z-10シリーズなど)は内蔵LEDに移行したので、LEDの総点灯時間が寿命まで来たら修理に出すか諦めるかなんですね。電球・蛍光灯時代ならほぼ一生ものと言っても良かったZライトの持ち前の作りの良さを活かしきれないのはあまりにもったいないですし、そこを考えるとLED電球のモデルのほうが使い続けやすいのではないかと思います。
さて、完成したZ-108NBの全体像はこんな感じ。Zライトの歴史を紐解くと発祥は1950年代、工場などで手元を照らす作業灯として、光源の位置や角度を自在に変えられる構造を考案して売り込んだのが始まりだそう。その後、高度経済成長期にオフィス用や学習用としても広まっていき、今でもデザイン業などのプロの道具として支持され続けています。
やはりアームの構造が特徴的で、シェードに手を添えれば軽い力でスッと動かせて任意の位置・角度にピタッと止められます。それでいて、外見もシンプルで美しく、まさに機能美といったところ。現場向けの作業灯がルーツというだけあって、華美な装飾を廃したインダストリアルなデザインだからこそ、時代を超えても色あせない魅力があるのでしょうね。
使い方は至ってシンプル。シェードの上についているスイッチで点灯/消灯するだけ。単機能のデスクライトで1万円前後、冷静に考えるとけっこう高級品かもしれませんね。IKEAなんかでパチモンを買ったら1,999円ですから……(たぶんあれの元ネタはZライトじゃなくて、ピクサーのキャラクターの元ネタとしても有名なイギリスのアングルポイズでしょうけど)。
普通に狭めの部屋の照明として天井につけるような60W電球をそのまま使うのでけっこう明るいです。
ひとつ注意点として、アームの構造上、取り付け位置から周りの物や壁まで20~30cmぐらいは距離を取ってやらないと“ひじ”の部分が当たって可動域が制限されてしまうので、狭い場所への設置には向いていません。そもそもアームがけっこう長いので(関節の前後で450mm+450mm)、机自体もそれなりに広くないと持て余すかと。
ちなみに、現行のZライトで原型に一番近いのはZ-108Nよりちょっとお高いZ-00Nというモデルです。丸みを帯びたどこかレトロな形状のシェードを備えるZ-00Nと比べると、このZ-108Nのシェードは直線的でちょっとモダンな雰囲気。個人的には108のフォルムが好みでこちらを選んだのですが、まあこれは他の家具などとの相性もあるでしょう。
アーム各所のパーツの質感やケーブルの取り回しの美しさなんかを見ると、やっぱ00のほうがフラッグシップなんだなぁと差を感じるところはありますけどね。とはいえ108でも内装ケーブルですし、十分すぎるほど丁寧なつくりだと思いますよ。